栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

NEJM Knowledge+:82歳 発熱・意識障害

NEJMのKnowledge+です〜。
今年も一年お世話になりました!

症例:82歳男性 発熱・意識障害

 82歳男性が娘に連れられて救急外来に連れてこられた。2日間で増悪傾向の重度の頭痛があり、嘔気や嘔吐を伴った。娘が言うには、今朝本人は起き上がることも出来なかったとのことであり、今までとても元気だったので数年来病院にはかかっていなかったとのことだった。薬剤アレルギーなし。メキシコ出身で30年以上にわたって米国で暮らしていた。身体診察では、グッタリしていて、項部硬直があり、体温は38.9℃だった。

 EmpiricalにCTRX+VCM治療が開始され、緊急の腰椎穿刺が施行された。髄液検査の結果では、白血球数1300/mm3(好中球 75%、リンパ球 25%)、蛋白 110mg/dL(正常 15-45)、髄液糖 50mg/dL(40-70)。血清糖は正常範囲内である。髄液のグラム染色はグラム陽性小桿菌だった。

質問. 抗菌薬治療後に行うべきは次のどれか

  1.   リファンピン
  2.   アンピシリン+ゲンタマイシン
  3.   アシクロビル
  4.   クロラムフェニコール
  5.   ST合剤

 

Key Learning Point

After initiation of a continuous intravenous insulin infusion in a patient who is in a hyperosmolar hyperglycemic state, the serum sodium level is expected to increase. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
高 血糖高浸透圧状態にある患者において持続静脈内インスリン注入の開始後、血清ナトリウムレベルが増加すると予想される。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1232/answer/E/?source=qowemail&inf_contact_key=17b5698a6684a395d9fc82ffb22e1fa91de10b4fde895a56d5112390edd38a2a#sthash.U24I63Zx.dpuf
患 者に害を引き起こす医原医療ミスを伝えるための適切な方法は、エラーのオープンで正直なアカウントを提供し、患者に正式に謝罪することです。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/1015/answer/B/#sthash.vBmBG3vd.dpuf
慢 性閉塞性肺疾患の増悪と高炭酸ガス呼吸不全や肺炎の証拠で入院した患者は、気管支拡張薬治療、全身グルココルチコイド、およびフルオロキノロンまたはマク ロライド系抗生物質で治療すべきである。 - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/235/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=5867c46d2a7fbaecc6edeccb8b5f2d7372c2badebfd1c8e5638e924cb4d6a052#sthash.X4dusLJi.dpuf
The gradual development of arm weakness and Horner’s syndrome in an older former smoker is most indicative of a diagnosis of an apical bronchogenic cancer known as a Pancoast’s tumor. - See more at: http://knowledgeplus.nejm.org/question-of-week/932/answer/A/?source=qowemail&inf_contact_key=8b697793f3c2f6a9d68dcdc1826ffea87b269461ef7de16dbcbb80275770fc7a#sthash.YmYXCOj2.dpuf

 Listeria monocytogenesを含めた細菌性髄膜炎の抗菌薬選択では、アンピシリン+ゲンタマイシンである

回答 2. アンピシリン+ゲンタマイシン

解説:

 Listeria monocytogenesはグラム陽性桿菌で、中枢神経に親和性の高い食品媒介病原体である。Listeria菌のアウトブレイクは、未殺菌牛乳、ソフトチーズ、deliスタイルの肉などによって起こる。本微生物は健常人では稀だが、新生児や妊婦、高齢者、AIDSや移植患者などの細胞免疫性障害のある患者においては重要な起因微生物である。1995年には、CDCが60歳以上の高齢者の細菌性髄膜炎において20%がリステリア菌だったと報告した。臨床経過はより亜急性(24時間以上)で、他の微生物と経過が異なる。脳脊髄液のグラム染色は30-40%でしか陽性にならない

 妊娠中の女性もまた、リステリア菌感染のリスクが高い。この集団では絨毛羊膜炎(髄膜炎ではない)の原因になり、分娩時に新生児髄膜炎に繋がる可能性がある。このリスクの為に、妊娠中の女性はリステリア感染を引き起こすようなソフトチーズやデリ肉を避けるように指導される。


 細菌性髄膜炎疑いの成人では、最も一般的な起因微生物をカバーする為、済みやかにempiricalなCTRX+VCM投与を開始すべきである。ABPCをempiricに追加するのは、50歳以上に推奨されている。アンピシリンまたはペニシリンはListeria monogenes菌感染の治療で好まれる。ゲンタマイシンなどのアミノグリコシドのシナジー効果は、in vitroでは証明されていて、しばしばリステリア髄膜炎では用いられている。

 ST合剤はペニシリンアレルギーがある場合の代替薬である。セファロスポリンは、リステリア菌に対する活性は限定的で、クロラムフェニコールやリファンピンも治療失敗率が高いことが報告されている。アシクロビルは細菌に対する抗菌活性のない抗ウイルス薬である。

Citations

  • van de Beek D et al. Community-acquired bacterial meningitis in adults. N Engl J Med 2006 Jan 6; 354:44. 

  • Clauss HE and Lorber B. Central nervous system infection with Listeria monocytogenes. Curr Infect Dis Rep 2008 Sep 4; 10:300.  

  • Tunkel AR et al. Practice guidelines for the management of bacterial meningitis. Clin Infect Dis 2004 Nov 1; 39:1267.

 リステリアは妊婦で感染してもあまり髄膜炎にはならないんですよね。ついつい勘違いしてしまいます。 

レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版

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