栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

Dトレ(ポリファーマシー連載1月号):痒みをなんとかしてください!

連載第10回目です。

新年第1回目ということで、冬に多い掻痒感を取り上げています。

今回は抗ヒスタミン薬がテーマです。

ご興味ある方は「治療」か「薬局」どちらかに掲載されておりますので是非本文をお読み下さい。 
薬局では、毎年恒例のEvidence Uptodateでした。これは役立ちますねえ。

薬局 2017年 01 月号 [雑誌]

薬局 2017年 01 月号 [雑誌]

 

 

症例) 83歳男性

 83歳男性。自宅で妻と二人暮らし。数年前から、顔や体幹・鼠径・肛門周囲・頭皮などに掻痒感が出るようになり改善しない。痒みのために、夜は3-4時間しか眠れない状態が続いている。近所の皮膚科に定期通院しており、皮膚乾燥症および足白癬と診断されて、局所ステロイド軟膏と抗真菌薬軟膏を処方されているが、痒みはわずかに改善する程度だった。

 既往歴では、2型糖尿病・慢性腎臓病・虚血性心疾患・心房細動・末梢血管病変があり、過去に2回の心臓バイパス手術、左大腿膝窩動脈バイパス術を行っている。皮膚疾患の既往はない。

 ADLは自立し、自宅で入浴している。介護保険利用なし。アレルギー既往はなく、アルコール摂取は機会飲酒程度、初回に心筋梗塞を発症した 62歳以降禁煙されている。

 バイタルは、意識清明、血圧 132/84mmHg、脈拍 84/分 不整、身長168cm、体重 64kg、BMI 22.7。

 身体所見では、胸骨右縁第二肋間にLevine Ⅱ/Ⅵ程度の収縮期雑音を聴取し、心音不整、両下腿に軽度浮腫あり、皮膚は背部や頸部、前胸部、四肢に掻破痕あり、掻痒を伴う膨疹も複数認めた。両足趾間部に白癬あり、爪白癬もある。両側足背動脈は触知可。両足背部に軽度浮腫あり。

 血液検査では、肝酵素正常、BUN 56IU/ml,Cr 2.2mg/dL、TSH 2.1IU/ml、HbA1c 7.2%、INR 2.1。

 現在の内服薬は以下の通り。新規開始薬剤はない。
・バイアスピリンⓇ 100mg 1錠/分1 朝食後  5.6円
・リピトールⓇ 10mg 1錠/分1 朝食後  98.6円
・ブロプレスⓇ 8mg 1錠/分1 朝食後  126.3円
・アテレックⓇ 10mg 1錠/分1 朝食後  53円
・ザイロリックⓇ 100mg 1錠/分1 朝食後  23.1円
・クラリチンⓇ10mg 1錠/分1 夕食後  86.7円
・ワーファリンⓇ 1mg 3錠/分1 朝食後  28.8円
・ヒルドイドソフト軟膏Ⓡ 乾燥部位に塗布  592.5円/本
・アンテベート軟膏Ⓡ 発赤強く痒みが強い部位に塗布  143.5円/本
・ゼフナートⓇクリーム2% 両足趾間部に塗布  408円/本 内服のみ
合計 497.6円/日  

質問)この患者さんについて正しいものはどれか。1つ選べ。 
A 掻痒感の原因として糖尿病の関与は考えにくい
B 掻痒感の原因は多因子であることが多い
C 薬剤性掻痒の被疑薬として最も疑われるのはワーファリンⓇである
D 薬剤性掻痒であれば薬剤中止後速やかに改善する
E クラリチンⓇは掻痒感に対しての効果が証明されている
 

 

Key Learning Points!)
・高齢者の掻痒感の機序を知ろう
・高齢者の掻痒感に対する適切な対処方法を学ぼう
・抗ヒスタミン薬のメリット・デメリットのおさらいを!


そして!
治療のテーマは日々考えていること。
健康の社会的決定要因などは興味がありますね。

治療 2017年 01 月号 [雑誌]

治療 2017年 01 月号 [雑誌]