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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:RCT 転移性骨腫瘍患者に対するゾレンドロン酸の長時間間隔 vs 通常間隔の効果比較

論文 JAMA 悪性腫瘍 整形 薬剤

転移性骨腫瘍患者に対するゾレンドロン酸の長時間間隔 vs 通常間隔の効果比較
Effect of Longer-Interval vs Standard Dosing of Zoledronic Acid on Skeletal Events in Patients With Bone Metastases

JAMA. 2017;317(1):48-58.

【背景】
 第3世代のアミノビスホスホネートであるゾレンドロン酸は、転移性骨腫瘍を有する患者の骨関連イベントと疼痛の発生率を減少させる。ただ,ゾレンドロン酸の最適投与間隔は不明である。
【目的】
 12週毎のゾレンドロン酸投与が4週投与と比較して非劣性かどうかを検討する
【デザイン・セッティング・患者】
 オープンラベルのRCTで、米国269カ所の教育病院や市中病院が対象。1822人の1カ所以上の骨病変がある転移性骨腫瘍患者(乳癌・前立腺癌・多発性骨髄腫)が、2009年5月から2012年4月まで組み入れられ、2014年4月までフォローアップされた。
【介入】
 ゾレンドロン酸を4週間毎投与群(n=911人)、12週間毎投与群(n=911人)にランダムに割り付けしを2年間静脈内投与した。
【メインアウトカム】
 メインアウトカムは、ランダム化後2年間以内の、少なくとも1カ所以上の骨関連イベント(明らかな骨折・脊髄圧迫・骨への放射線治療・骨への外科的治療)の発症とした。非劣性マージンは群間絶対差7%とした。
 セカンダリアウトカムは、病気毎の少なくとも1 つ以上の骨関連事象、Brief Pain Inventoryによる疼痛評価(10段階で高スコアが疼痛悪化)、Eastern Cooperative Oncology GroupのPS(4段階で高スコアが障害度高)、顎骨壊死、腎機能障害、骨合併症率(1年あたりの平均した骨関連イベントの頻度)、骨代謝マーカー(C末端テロペプチド値)。
【結果】
 ランダム化された1822人の患者(平均年齢 65歳、女性 980人:53.8%、乳癌 855人、前立腺癌:689人、多発性骨髄腫:278人)のうち、795人が2年間で研究を完遂した。
 4週間毎投与群で合計260人(29.5%)および12週間毎投与群で合計253人(28.6%)が、ランダム化2年以内に少なくとも1つ以上の骨関連イベントを経験した(リスク差:-0.3%:片側95%検定 -4% to ∞、p<0.01 非劣性)。

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(本文より引用)
 骨関連イベントの割合は、乳癌・前立腺癌・多発性骨髄腫の患者で4週間毎・12週間毎で有意差は認めなかった。疼痛スコア・PS・顎骨壊死・腎障害・処置群間でも有意差を認めなかった。骨合併症率は両群で数値的に同一だったが、12週毎投与群でゾレンドロン酸を投与された患者の骨代謝回転はより高かった。
【結論】
 乳癌・前立腺癌・多発性骨髄腫による転移性骨腫瘍を有する患者の中で、4週間毎の標準的な投与間隔と比較して、12週間毎のゾレンドロン酸の使用は、2年間にわたって骨関連イベントのリスクを増加させなかった。この長期投与間隔は受入可能な治療選択肢である。

【批判的吟味】
・まずは、論文のPICOから
P:転移性骨腫瘍を1つ以上持った乳癌・前立腺癌・多発性骨髄腫患者
I:12週間隔のゾレンドロン酸投与
C:4週間隔のゾレンドロン酸投与(通常レジメン)
O:2年以内の少なくとも1つ以上の骨関連有害イベント
T:RCT/非劣性試験/オープンラベル
・RCTとしては、オープンラベルであることは微妙な点かもしれません。報告バイアスが加わる可能性がありますね。
・2年間で治療を完遂しなかった患者は30%以上と予測より高かった様です。ただ、脱落者も交えたITT解析や感度分析では結果は一貫していました。
・あとはデノスマブによる効果検証も今後必要になりますね。
・Cr値は4週間毎投与の方が上昇する可能性がありますが、有意差なし。(4週 1.2%、12週 0.5%)
・全体での死亡確認者は4週で73人、12週で81人であり、それほど多いとは言えませんが、フォロー脱落率も高いのが微妙なところ。

【個人的な意見】
 こんなことも分かってなかったんだなあ、とちょっと感慨深いです。正直、骨転移がある方で 2年って長めですが、前立腺癌や骨髄腫ではあり得るかもしれませんね。

✓ 転移性骨腫瘍に対するゾレンドロン酸は4週間隔でも12週間隔でも効果は非劣性だった