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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:SR 慢性腎臓病・心不全・慢性肝疾患患者へのメトホルミン使用と臨床アウトカム

慢性腎臓病・心不全・慢性肝疾患患者へのメトホルミン使用と臨床アウトカム
Clinical Outcomes of Metformin Use in Populations With Chronic Kidney Disease, Congestive Heart Failure, or Chronic Liver Disease

Ann Intern Med. doi:10.7326/M16-1901

【背景】
 近年米国FDAのメトホルミンに対する警告の変更は、歴史的に禁忌や注意だった患者さんへの処方を増やす可能性がある。処方する者は、これらの注意が必要な集団に対するメトホルミンの臨床アウトカムを理解しておかなければならない。
【目的】
 中等度から重度の慢性腎臓病、慢性心不全、肝障害を伴う慢性肝疾患を合併する2型糖尿病患者に対するメトホルミン使用のアウトカムデータを集計する。
【データ】
 1994年1月から2016年9月までのMEDLINE、1994年1月から2015年11月までのCochrane Library、EMBASE、International Pharmaceutical Abstractsを調査
【研究の選択基準】
 英語言語の研究で
①2型糖尿病でCKD(eGFR<60ml/min)・CHF・肝障害のあるCLD
②2型糖尿病患者でメトホルミンレジメンと、非メトホルミンレジメン
③全死亡率、主要な心血管イベント、その他のアウトカム
を評価した。
【データ抽出】
 2人のレビューアーがデータを抽出し、独立して研究の質とエビデンスの強さを評価した。
【データ合成】
 質的研究・量的研究を含めた17の観察研究が抽出され、メトホルミン使用は、CKD・CHF・肝障害を伴うCLD患者でも全死亡の低下に関連し、CKD・CHF患者では心不全の再入院率を減らした

f:id:tyabu7973:20170113011456j:plain(本文より引用)

【限界】
 エビデンス強度は低く、複数のアウトカム結果はばらつきがあった。利用可能な研究は観察研究で、観察期間によって結果が大きく変化した。
【結果】
 メトホルミン使用は、中等度CKD・CHF・肝障害のあるCLD患者で、臨床的に重要なアウトカムを改善した。この結果は、最近のメトホルミン表示の変更を支持している

【批判的吟味】
・論文のPECOから
P:中等度から重度のCKD・CHF・肝障害のあるCLDを合併した2型糖尿病患者
E:メトホルミン使用者
C:メトホルミン非使用者
O:全死亡、主要な心血管イベント
T:システマティックレビュー
・具体的な結果ですが、CKD患者ではメトホルミン使用レジメンでは全死亡がHR 0.77(0.61-0.97)と有意に減少
・CHF患者では、メトホルミン使用レジメンでは全死亡がHR 0.78(0.71-0.87)と有意に減少

f:id:tyabu7973:20170113012006j:plain

(本文より引用)
・それなりにヘテロジェネシティあり。観察研究が中心で交絡因子は排除しきれなかった可能性が高い。
・中には観察期間中内服していたか不明で、組み入れ時のみだった可能性も。
・メトホルミン使用量は実はあまりきちんと記載されていない研究が多かったのですが、ある研究では1100-1900mgでした。
【個人的な意見】
 まあ、eGFRで30ml/minを切らなければ安全に利用できると言う情報は結構有用な情報かなと思います。まあ、日本で臨床を行う場合には、出来る限り日本の添付文章に従う必要はありますが。
 ちなみに、現時点での添付文書の腎機能記載は以下の通りで基本Cr値で分類されています。

⑴ 腎機能や患者の状態に十分注意して投与の適否や投与量の調節を検討すること。腎機能は、eGFRや血清クレアチニン値等を参考に判断すること。[他社が実施したメトホルミン塩酸塩製剤の国内臨床試験における除外基準は、血清クレアチニン値が、成人では男性1.3 ㎎ /dL、女性1.2㎎ /dL以上、小児では血清クレアチニ ン値1.0㎎/dL超であった]
⑵ 本剤投与中は定期的に、高齢者等特に慎重な経過観察 が必要な場合にはより頻回に腎機能(eGFR、血清ク レアチニン値等)を確認し、腎機能の悪化が認められた場合には、投与の中止や減量を行うこと。

✓ メトホルミンは、中等度CKD・CHF・肝障害のあるCLD患者でも、臨床的に重要なアウトカムを改善した