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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

症例:Lancet 黒い胸水

Lancet 症例報告 論文 呼吸器

case report今回はLancetからです。
なんかNEJMのはみんなが見てるからあんまり挙げてもなあ・・・という感じなんですよね。
まあ、黒というか・・・という感じではありますが。

症例:56歳男性 胸水貯留

Lancet 2015; 386: e7

 56歳男性、前立腺癌治療中だったが、2014年5月に大量の右胸水貯留評価のために紹介受診された。

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(本文より引用)

 胸水は多かったが、呼吸困難感は軽度で、尿閉のために入院した。胸腔穿刺を施行したところ、胸水は黒色だった!

f:id:tyabu7973:20170127222917j:plain
(本文より引用)

 胸水性状では、蛋白高値 8.5g/dL(血清蛋白 5.6g/dL)、LDH・Amyも上昇していた。

質問. 診断は

 

回答:肺腺癌 Lung adenocarcinoma

経過:

 我々は、この黒色胸水の胸腔穿刺を行い、24時間で約3リットル排液した。気管支鏡検査では特記事項を認めなかった。しかし、胸腔鏡検査では、胸膜肥厚を伴う臓側・壁側胸膜の結節が認められた。胸腔液細胞診で、中皮細胞および混合炎症細胞集団を有する出血成分の背景において、球状・腺状および乳頭状に配置された悪性細胞が認められた。免疫組織化学検査では、肺由来の腺癌の診断が最も支持された。経皮的および胸腔鏡的胸膜生検によって同様の診断が確定された。患者は肺癌および前立腺癌の治療を受け、2015年2月には最終的にフォローアップを行ったが、PSはあまり良くない状態で、胸水も持続的に貯留していた。
解説:
 黒色胸水は極めて稀であり、過去の報告では、胸膜感染症の患者(Aspergillus niger・Rhizopus oryzae ※もやしもんみたい)、転移性黒色腫、肺腺癌、膵性胸水、
薬物の過剰摂取のために活性炭処理の間に発症した食道穿孔(※芸が細かい!)、積極的にクラックコカインを使用している患者での報告がある。今回の患者の黒色胸水は、胸膜に大量に出血した後、溶血およびヘモジデリン含有マクロファージが存在したことで発症した可能性が最も高い。大量の胸水貯留にもかかわらず臨床的に有意な症状がなく、胸水が黒くて赤くないということは、胸水が長期間にわたって形成され、出血がかなり以前に起こったものと考えられる。本症例の様に、胸膜液中のアミラーゼ濃度の増加は、肺癌を有する患者によく見られ、腺癌患者で最も頻繁に見られる。