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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Etiology 高齢COPD患者に新規にオピオイドを開始すると呼吸器関連および全死亡が増える

ACPJCまとめ。
1月分がアップされました。楽しみ楽しみ。
最近COPDばっかりですが、このあたりは在宅領域でとくに重要なエビデンスかと思います。

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Incident opioid drug use and adverse respiratory outcomes among older adults with COPD. 

Vozoris NT, Wang X, Fischer HD, et al. 

Eur Respir J. 2016;48:683-93.

臨床上の疑問:
 高齢COPD患者で、新規にオピオイドを開始すると呼吸アウトカムの有害事象が増えるか?

方法:
 デザイン:人口ベースの後ろ向き観察研究/入院データとリンクのあるデータベース/30日follow upデータ
 セッティング:カナダのオンタリオ
 患者:13万979人の66歳以上のオンタリオ居住の市民(平均年齢 77歳、53%男性)の中から、2007年4月から2012年3月までに医師診断のCOPD患者を抽出。89327人が新規に経口もしくは経皮でオピオイド開始された。最初にオピオイドが開始された日を開始日とした。また、開始日の1年以内にはオピオイド処方がない群とある群も比較した。41652人が試験期間中オピオイド処方が全く認められず、非オピオイド系薬剤が6か月以内に新規処方された群がコントロール群とされ、非オピオイド薬の開始されたひを開始日とした。
 除外基準は、オピオイドの直腸投与もしくは静注、suboxone(オピオイド依存治療薬)、メタドン使用、開始日の1年以内の緩和ケアとした。
 リスク因子:新規処方開始された経口もしくは経皮オピオイド。傾向スコアを用いて、曝露群とコントロール群を33のベースライン調整を行った
 アウトカム:外来での呼吸不全増悪、COPDもしくは肺炎での救急外来受診、COPDまたは肺炎での入院およびICU入院、COPDまたは肺炎での死亡率、全死亡

結果:
 主な結果は以下の通り。感度分析では、オピオイドのみが全死亡とICU入院以外の呼吸関連のアウトカムと関連していた。オピオイドと非オピオイドの合剤は、呼吸関連死亡と全死亡を増やしたが、他のアウトカムとは関係しなかった。

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(本文より引用)

結論:
 高齢COPD患者で、新規にオピオイドを開始すると呼吸関連死亡および全死亡が増える

 まず、普通にオピオイド開始しすぎでしょう!という突っ込み。なんかセレクションがおかしいわけでもなさそうですよね。人口ベースですし。傾向スコアも使われています。
 あと、そもそもデザインとしてプライマリアウトカムを設定せずに横並びはどうかなと思います。一応どれが一番みたいモノかは明確にすべきでしょうね。というのも研究の中ではアウトカム毎に多少結果が矛盾する形になっています。こういった場合、偶然の産物では?という疑惑が出てきてしまいます。
 一番は観察研究だということ。交絡因子の最終排除は難しいです。ただ、人口レベルでかなり規模が大きいこと、傾向スコアを用いていることなどからはクオリティが高いかもしれません。

 とはいえ、メッセージとするとCOPDのある高齢者にオピオイドを始めるときには死亡リスクがあがる可能性は考えておく必要があるというTake Home Messageにはなりそうです・・・