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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 重症敗血症患者においてヒドロコルチゾンは敗血症性ショックへの進展を予防できない

ACPJCです。
ステロイドの役割はやはり限定的ですね。

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Effect of hydrocortisone on development of shock among patients with severe sepsis: the HYPRESS randomized clinical trial.

Keh D, Trips E, Marx G, et al; SepNet-Critical Care Trials Group. 

JAMA. 2016; 316:1775-85.

臨床上の疑問:
 重症敗血症患者で、ヒドロコルチゾンはプラセボと比較して敗血症性ショックへの進展を予防できるか?

方法:
・デザイン ランダム化比較試験(HYPRESS study)
・隠蔽化 隠蔽化あり
・盲検化 盲検化あり(患者・研究者・スポンサー・医療スタッフ)
・フォローアップ 180日
・セッティング ドイツ34カ所のICU
・患者 18歳以上の380人の成人(平均年齢 65歳、男性 65%)で、定義された重症敗血症の基準を満たし、SIRS 2項目以上満たし、48時間以内に臓器障害を来している患者。
 除外基準として、敗血症性ショック・ヒドロコルチゾンやD-マンニトールへの過敏性のある患者、過去もしくは現在ステロイド治療中の患者。
・介入 ヒドロコルチゾン 50mg静注後に200mg/日を5日連続投与し11日目まで漸減群(n=190人)と同じ要領でのプラセボ(D-マンニトール)群(n=190人)
・アウトカム 
 プライマリアウトカムは、14日以内の敗血症性ショックへの進展
 セカンダリアウトカムは、28日・90日・180日死亡、2次性感染症、高血糖、敗血症性ショックまでの時間、ICU滞在時間、院内死亡率。
 パワー 80%でα 0.05で算出し、絶対差を15%出すためには、190人の患者が必要と算出された。プラセボ群は敗血症性ショックが40%、10%はフォローアップできないと見積もられた。
・患者フォローアップ 95%、ITT解析

結果:
 14日時点で両群の敗血症性ショックへの進展率に差は認めなかった。28・90・180日の死亡率や二次性感染も有意差なし。高血糖はヒドロコルチゾン群で多かった。敗血症性ショックまでの時間・ICU滞在時間・ICU/院内死亡も有意差なし。

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(本文より引用)

結論:
 重症敗血症患者で、ヒドロコルチゾンはプラセボと比較して敗血症性ショックへの進展を予防できなかった。

 基本的にはショックのない敗血症の時のステロイド効果はあまりないという認識で良いでしょうね。現時点では過去のCochrane(Corticosteroids for treating sep- sis. Cochrane Database Syst Rev. 2015;12:CD002243.)の結果から、敗血症性ショック患者とボリューム・昇圧に十分反応しない患者への使用が妥当なところでしょう。
 ちなみに、ショックではない敗血症性患者へのステロイド使用の大規模検証はまだ行われており、近いうちに追加試験の結果は出るようですが・・・