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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

症例:Lancet 45歳男性 両手腫脹

Lancet 論文 症例報告

case report今回はLancetから。
両手腫脹の鑑別は!?

症例:65歳男性 両手腫脹

Lancet 2017; 389: 298

 45歳男性が、両手の指近位部から手首にかけての腫脹がこの3か月で徐々に増悪傾向であるとのことでリウマチ科外来を受診された。

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(本文より引用)

 浮腫は非圧痕性で両手を挙上しても変化は認めなかった。手や指の機能は障害されていない。全身性浮腫や眼瞼浮腫も認めず。ワインを1-1.5L/日飲んでいる以外には既往歴なし。
 血液検査や腹部超音波検査では肝炎を疑う所見で、AST 175IU/L、ALT 170 IU/L、Alb 4.68mg/dL、C型肝炎抗体陽性、HBV・HIV陰性だった。RF 29IU/ml、ANA・ACPA・補体・蛋白電気泳動、総ビリルビンは正常だった。

質問. 診断は

 

回答:Puffy hand syndrome

経過:

 病歴を更に追加聴取すると、高用量の舌下ブプレルノフィンを5年以上、静脈内および手首周囲に一日3-4回注射していたことが明らかになった。

解説:
 Puffy hand syndromeは、静脈内薬物乱用の合併症です。患者本人はリスクを認識していますが、薬物中毒の専門家も含めた臨床医のほとんどは、この症状に遭遇することがほとんどなく、精通していない可能性があります。Puffy hand syndromeの頻度は不明で、浮腫の原因はおそらく注射された薬物の直接毒性や静脈およびリンパ管不全と考えられています。皮膚や皮下組織の生検およびリンパ管造影検査では、皮下組織の繊維化に伴うリンパ管の破壊が認められ、これはおそらくリンパ管に損傷を与える薬物の可溶性化合物によるものでしょう。低弾力のバンテージや弾性衣類の着用による治療がPuffy Hand Syndromeの浮腫を軽減するのに役立ちます。