栃木県の総合内科医のブログ

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論文:RCT リマインダーデバイスの服薬アドヒアランスへの効果

リマインダーデバイスの服薬アドヒアランスへの効果
Effect of Reminder Devices on Medication Adherence The REMIND Randomized Clinical Trial

JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2016.9627 Published online February 27, 2017.

【背景】
 忘れることは、慢性疾患の服薬アドヒアランスが下がることの主要な原因であり、服薬リマインダーデバイスで思い出させることはできる
【目的】
 3つの低価格なリマインダーデバイスの服薬アドヒアランスへの効果を比較した
【デザイン・セッティング・患者】
 全米の薬剤ネットワークCVS Caremarkから53480人が抽出され、4群比較のブロックランダム化比較試験として行われた。組み入れ患者は18-64歳の1-3種類の内服薬を長期間使用している方だった。患者群はランダム化12か月前から服薬アドヒアランスが調査されており、平均服用率は30-80%だった。
 患者は服用薬剤によって、ランダムに割り付けられた。内服薬は循環器系薬剤や非抗うつ薬等の慢性疾患治療薬と抗うつ薬群に分類された。それぞれの薬剤別にランダム化は行われ、患者の内服薬が1日1回になった際に行われた。
 薬瓶にスライダーをつける群とデジタルタイマーカプセル群と通常の薬瓶群に割り付けられた。コントロール群はデバイスによるアナウンスはなかった。2013年2月12日から2015年5月21までデータ抽出され、解析はITT解析で行われた。

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(スライダー)

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(デジタルタイマー)

【メインアウトカム】
 プライマリアウトカムは服薬アドヒアランス目標達成(≧80%)で、処方箋データを用いて組み入れられた全ての薬剤について12か月後までフォローアップを行った。
 セカンダリアウトカムは、慢性疾患治療薬、抗うつ薬のアドヒアランスとした。
【結果】
 53480人の患者で平均45歳、56%は女性だった。初回の解析では、慢性疾患治療薬群において、通常の薬瓶群のアドヒアランスは15.5%、デジタルタイマー群は15.1%、スライダー群が16.3%、コントロール群が15.1%だった。コントロール群と比較してどの群も服薬アドヒアランスの統計学的な有意差は認めなかった(通常薬瓶群 OR 1.03:0.95-1.13、デジタルタイマー群 OR 1.00:0.92-1.09、スライダー群 OR 0.94:0.85-1.04)。直接比較では、通常薬瓶と比較してスライド群の方がアドヒアランスが高かった(OR 1.10:1.00-1.21)。二次解析でも同様の結果だった。

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(本文より引用)
【結論】
 低コストのリマインダーデバイスは、一般的な慢性疾患の治療薬において、患者の服薬遵守を改善しなかった。デバイスは、他の介入方法と組み合わせたり、よりアドヒアランスが低い症例群には有効かもしれない

【批判的吟味】
・論文のPICOは、
P:1-3種類の内服薬を飲んでいる18-64歳の患者
I/C:通常の薬瓶群、デジタルタイマー群、スライダー群、コントロール群
O:服薬アドヒアランス
T:ランダム化比較試験/ITT解析
・ランダム化は若干複雑ですが、慢性疾患薬剤群と抗うつ薬群に分けて、更にそれを4群にランダム化しています。
・サブグループ解析では、年齢・性別・過去のアドヒアランスなどで層別化していますが、あまり有意な差は出ていません
【個人的な意見】
 デバイス悪くないと思うんですけどねえ。それだけではダメと言うことでしょうか。

✓ 低コストのリマインダーデバイスは、一般的な慢性疾患の治療薬において、患者の服薬遵守を改善しなかった