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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:RetroCohort 救急医のオピオイド処方パターンと長期使用のリスク

救急医のオピオイド処方パターンと長期使用のリスク
Opioid-Prescribing Patterns of Emergency Physicians and Risk of Long-Term Use

N Engl J Med 2017;376:663-73.

【背景】
 米国でオピオイドの過剰使用が増えている一因に、医師による処方があるだろう。個々の医師の処方のばらつきがオピオイドの長期使用や患者有害転帰に与える影響は不明である。
【方法】
 2008-2011年にindex救急受診があり、受診前6ヵ月以内にオピオイド処方歴がなかったメディケア受給者を対象に、後ろ向き解析を行った。患者の治療にあたった救急医を病院内で特定し、同病院内における処方率で救急医を4群に分類し、高率オピオイド処方医師と低率オピオイド処方医師に分類した。高率または低率処方医師の治療を受けた患者における救急受診後12ヵ月間の長期オピオイド使用率を患者背景で補正して比較した。長期オピオイド使用の定義は6ヵ月とした。
【結果】
 低率処方医師の治療を受けた21万5678症例と高率処方医師の治療を受けた16万1951症例を対象とした。救急部での診断などの患者背景は2群で同等だった。各病院で低率処方医師と高率処方医師とではオピオイドの処方率が大きく異なっていた(7.3% 対 24.1%)。
 長期オピオイド使用率は、高率処方医師の治療を受けた患者のほうが、低率処方医師の治療を受けた患者よりも有意に高く(調整OR 1.30:1.23-1.37)
、これらの結果は複数の感度分析で一致していた。

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(本文より引用)
【結論】
 オピオイドの処方率は、同じ病院の救急部で診療にあたっている医師間で大きく異なり、また、オピオイドの処方歴がなく、高率オピオイド処方医師の治療を受けた患者では長期オピオイド使用率が高かった。

【批判的吟味】
・まずは論文のPECOから
P:救急外来を受診した患者
E:高率にオピオイドを処方している医師が診療した患者
C:率にオピオイドを処方している医師が診療した患者
O:長期オピオイド使用率
T:後ろ向き観察研究
・平均年齢68歳、女性 64.5%、白人75%、基礎疾患としては心筋梗塞 50%弱、COPD 28%、うつ病 40%弱、脂質異常 69%、高血圧 78%だった。
・結構衝撃の処方率。最も高率に処方する医師群は救急患者の25%、4人に1人にオピオイドを処方しています!
・実は12か月以内の臨床アウトカムも見ていますが、こちらで有意差が出たのは、転倒や骨折とオピオイド中毒でした。救急外来受診や再入院、オピオイドの関連しない有害時用は増えていません。

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(本文より引用)
【個人的な意見】
 これは当院のK先生に教えてもらいました。日本ではこれほどオピオイドが処方されることは少ない様に思いますが、ベンゾジアゼピン系薬剤で同様の事が出来ないかなあ?とぼんやり考えています。大規模臨床研究の重要性を実感しますね。

✓ オピオイド処方率が高い救急医の治療を受けた患者は長期オピオイド使用率が高かった