栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics α遮断薬は有害事象を増やさずに尿管結石の通過を促進する

ACPJCです。
このテーマは決着着いてないですかねえ。
個人的には現時点で積極的には使用していませんが・・・

f:id:tyabu7973:20170325193525j:plain

Alpha blockers for treatment of ureteric stones: systematic review and meta-analysis. 

Hollingsworth JM, Canales BK, Rogers MA, et al. 

BMJ. 2016;355:i6112.

臨床上の疑問:
 尿管結石患者に対するα遮断薬の効果と安全性は?

レビュースコープ:
 尿管結石に対するα遮断薬とプラセボやコントロール群の効果を見た比較試験を組み入れた。外科処置に追加したα遮断薬の研究は除外した。
 プライマリアウトカムは結石の通過、セカンダリアウトカムは外科的介入、入院、疼痛発作の回数、結石通過までの時間、重篤な有害事象とした。

レビュー方法:
 MEDLINE・EMBASE/Excerpta Medica・Cochrane Central Register of controlled trial・Web of sciencee・LILACSを2016年2月まで検索した。また、ClinicalTrials.gov・WHO International clinical Trials Registry Platform・リファレンスリスト・アブストラクト・World Congress of Endourology
・SWL・European Association of Urology・American Urological Associationの会議録も検索され、ランダム化比較試験を調査した。過去のCochrane Collaboration systematic reviewのRCTも組み入れられた。
 55件のRCT(n=5990人、平均年齢 41歳、40-100%が男性だった)が組み入れ基準を満たし、フォローアップ期間は7-42日だった。平均の結石サイズは5.7mm。α遮断薬はタムスロシン(40RCT)・アルフゾシン(6RCT)・シロドシン(6RCT)・ドキサゾシン(4RCT)・テラゾシン(4RCT)・ナフトピジル(3RCT)だった。8つのRCTが適切な割り付け隠蔽化がなされ、6つRCTではアウトカム評価者の盲検化が適切だった。

結果:
 メタ解析によるとα遮断薬は結石排石を促進し、重篤な有害事象を増やすこと無く、外科的介入や入院率を減らすことが出来た。α遮断薬は結石通過までの時間を短縮し(-3.8日:-4.5 to -3.1日)、疼痛発作の回数も減少させた(-0.74発作:-1.28 to -0.21)。

f:id:tyabu7973:20170325193535j:plain

(本文より引用)

結論:
 尿管結石患者では、α遮断薬は有害事象を増やさずに結石通過を促進した。

 現行のカナダ・アメリカ・ヨーロッパ泌尿器科学会は、尿管結石の薬物的排石治療を推奨しています。この結果は5mm以上の大きさの結石でより顕著です。このシステマティックレビューでデータの多くを占める研究の質が不十分なのが危惧される点ではありますが、バイアスのリスクが低い研究で感度分析を行っても同様の結果が出た模様です。

 現時点でここまで効果が出てきていると使用することを検討する形が良いのかなと思います。ただ、結石の大きさを正確に把握するためにはCTを撮る必要があります。結局、全例CTを撮って5mm以上の患者にα遮断薬を投与するのか、ベッドサイドの超音波検査で確認して今まで通り治療を行うかは、CT被曝や医療費、時間などを含めて議論していく必要がありますね。
 
 ACPJC本文の中では腎仙痛の患者に対するShared decision makingをと書いてありましたが、かなり痛がっているこの状況でSDMの実践というのはややハードルが高い気もします。結構現時点では基本的にはα遮断薬を使用するので良くないか?と締めくくっていました。