栃木県の総合内科医のブログ

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論文:RCT 急性および慢性の坐骨神経痛に対するプレガバリン

急性および慢性の坐骨神経痛に対するプレガバリン
Trial of Pregabalin for Acute and Chronic Sciatica

N Engl J Med 2017;376:1111-20.

【背景】
 坐骨神経痛は日常生活に障害をもたらす疾患である一方、薬物治療に関するエビデンスは限られている。プレガバリンは、一部の神経障害性疼痛に有効である。本研究では、プレガバリンによって坐骨神経痛を軽減するかを評価した。
【方法】
 坐骨神経痛患者に対するプレガバリンのランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験を行った。最長 8 週間プレガバリンを投与する群と、マッチさせたプラセボを投与する群にランダムに割り付けた。開始用量は150mg/日とし、最大600mg/日まで調整した。
 プライマリアウトカムは、8週の時点の10点満点下肢痛スコア(0 は痛みなし、10は想像しうる最大の痛みを示す)とし、52週の時点でもプライマリアウトカムとして評価した。セカンダリアウトカムは、障害の程度・腰痛の強度・QOL指標などとし、1年以内に評価した
【結果】
 209例をランダム割り付けし、108例をプレガバリン群に、101例をプラセボ群に割り付けた。ランダム化後、プレガバリン群の2例が不適格と判定され解析から除外された。8 週時点で、下肢痛強度スコアの平均は、プレガバリン群3.7、プラセボ群 3.1だった(補正後の平均差 0.5:-0.2~1.2)。52 週時点で、下肢痛強度スコアの平均は、プレガバリン群3.4、プラセボ群3.0だった(補正後の平均差 0.3:-0.5~1.0)。

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(本文より引用)
 8週・52週の両時点で、いずれのセカンダリアウトカムでも群間で有意差は認められなかった。有害事象はプレガバリン群で227件、プラセボ群で124件報告された。プレガバリン群ではめまいの頻度がプラセボ群より高かった
【結論】
 8 週間のプレガバリン投与は、プラセボと比較して坐骨神経痛に関連する下肢痛の強度を有意には低下させず、その他の評価項目にも有意な改善は認められなかった。有害事象の発現率はプレガバリン群のほうがプラセボ群より有意に高かった。

【批判的吟味】
・いつも通り論文のPICOから
P:坐骨神経痛患者
I:プレガバリン投与
C:プラセボ群
O:8・52週時点での下肢痛強度スコア
T:ランダム化比較試験
・年齢は52歳前後、プレガバリン群が62%、プラセボ群が48.5%と女性がプレガバリン群で有意に多い、運動麻痺は30%前後、感覚障害は44%、L5 30-40%、S1 42-50%前後、下肢痛の経過は60日以上だった。
・重篤な有害事象はなかったもののめまいはプレガバリン群の39.6%に発症しており、有意に副作用は多い。
・プレガバリンの過去の先行研究と同様の結果だった。一方で、坐骨神経痛以外の有痛性多発神経炎などでは良い適応である。
・自殺企図には使用すべきがないのはよく知られた事実の模様でしたが、今回は自殺企図頻度は増えない結果でした。
【個人的な意見】
 プレガバリン万能説に対して、多少なりとも違和感を感じていたので何だか少しホッとしました。もちろん、更なるエビデンスの強化は必要ですので、これが複数回同じ結果であればリリカⓇ使用時には適応よく考えましょうというのが大事ということになるかもしれません。

✓ 坐骨神経痛に対するプレガバリン投与は、下肢痛の強度を有意には低下させない