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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

症例:BMJ 54歳男性 胸部異常影

case report今回はBMJからです。
実臨床っぽくて良いです。

症例:54歳男性 胸部異常影

 BMJ 2017;356:j1188 doi: 10.1136/bmj.j1188

 20PEの喫煙歴がある54歳男性が、6週間前からの発熱、食欲低下、悪化する咳嗽、呼吸困難感で受診された。既往歴はCABG施行歴あり。胸部X線では、以前の胸骨切開術、ボーダーラインの心肥大、肺水腫、右下葉の浸潤影、右中葉の卵形陰影を認めた。

f:id:tyabu7973:20170325231155j:plain

(本文より引用)

質問. 卵形陰影の診断は

 

回答:嚢胞化した葉間胸水

経過:

 右肺の葉間胸水に加えて、左下肺や右房近辺にも胸水を認めている。結果として、この胸部X線は、うっ血性心不全にMycoplasma pneumoniaeの肺炎による右下葉浸潤影を合併していた。診断は血液検査所見から。

解説:
 立位の胸部X線写真では胸膜滲出液はその量にもよるが、心臓横隔膜角や肋骨横隔膜角(CPA)部位に貯留する。しかし、本例で見られる様に、胸水は通常とは異なる形で出現することもある。側方の胸水は、線状影として横方向肺に沿って認められる。肺下方の胸水は胸水が横隔膜や肺底部に存在するときに認められ、横隔膜と胃泡の距離が開くことで明らかになる。嚢胞性胸水は典型的にはレンズ型陰影であり、肺腫瘍や結節と間違われる。

f:id:tyabu7973:20170325232558j:plain(本文より引用)

 この画像で鑑別診断にあがるのは、悪性腫瘍、感染による炎症性偽腫瘍(マイコプラズマ・肺結核)、円形無気肺などである。

 画像を確認しながら聴診することは胸水を同定するのに有用であり、また側方のX線でもより正確に診断することが出来る。今回病歴を考慮して、胸部CT検査を施行することとなった。CTでは、葉間胸水として矛盾しない所見だった。

f:id:tyabu7973:20170325232938j:plain(本文より引用)

 続いて行われた心臓超音波検査では、心不全に矛盾せず、マイコプラズマ敗血症によって引き起こされた可能性が高いと考えられた。その後、利尿剤と水分制限で徐々に体液貯留は改善し、フォローアップのX線では胸水は消失していた。結果として、悪性腫瘍や結核は考えにくかった。

 この症例は胸水貯留は非典型的な画像所見を呈しうることを示している。様々な画像パターンを知っておくことは重要である。適切に診断すれば、侵襲的な検査や不適切な抗菌薬使用を避けることが可能である。