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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 1回の腹部超音波スクリーニングは腹部大動脈関連の死亡や破裂を減らす

ACPJCです。
さて、この1回をどう判断するか。
偶発所見として見つかることも多いですね。
見つかったあとどうやって意志決定を促していくかも重要ポイントです。

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Screening for abdominal aortic aneurysm in asymptomatic adults. 

Ali MU, Fitzpatrick-Lewis D, Miller J, et al. 

J Vasc Surg. 2016;64: 1855-68.

臨床上の疑問:
 無症状の患者で、腹部大動脈瘤(AAAs)に対する1回もしくは繰り返しの超音波スクリーニングの効果や害はどの程度か?その効果は性別や喫煙状態、年齢、人種、家族歴によって異なるか?

レビュースコープ:
 英語・フランス語の研究で、50歳以上の無症状の成人を対象に、1回もしくは繰り返しの超音波によるAAAsスクリーニング群とスクリーニングなし群を比較した研究を組み入れた。
 アウトカムはAAA関連死亡、全死亡、AAA破裂、術後死亡とした。

レビュー方法:
 本レビューは過去のレビューのUpdate版である。MEDLINE・EMBASE/Excerpta Medica・Cochrane Central Register of controlled trialを2013年1月から2015年4月まで検索した。PubMedのcitationやリファレンスリスト
も検索され、ランダム化比較試験・臨床比較試験・1000人以上の観察研究が組み入れられた。
 4件のRCT(年齢 64-83歳、3RCTは100%男性)が1回スクリーニング群、3つの観察研究が再スクリーニング群だった。本アブストラクトはRCTの結果が1回スクリーニング群に反映されており、エビデンスはGRADE criteriaで評価された。

結果:
 下表は男性1回スクリーニングの効果である。1RCTのみが女性を含んでいた女性の1回スクリーニングは5-10年後のAAA関連の死亡、全死亡、AAA破裂に影響しなかった。30日術後死亡は、スクリーニング群の方が少なかった (2RCT、13-15年のリスク減少 54%:37-66%)。喫煙状態や年齢、人種、家族歴に基づいたスクリーニングを行った研究はなかった。

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(本文より引用)

結論:
 無症状の患者で、腹部大動脈瘤(AAAs)に対するスクリーニングは、AAA関連死亡、全死亡、AAA破裂を減らした。喫煙状態、年齢、人種、家族歴に基づいたスクリーニング効果は不明である。

 USPSTF2005の推奨では、以前は65歳以上の喫煙男性へのスクリーニング推奨が、65歳以上の男性全体への推奨へと拡大されています。一方、女性ではAAAsの有病率がはるかに低いのでスクリーニングは推奨されないとしています。
 結局リスク因子の有無ではAAA死亡率が変わらなかったという報告もあり、high-risk targetのスクリーニングではなく無症状スクリーニングになった模様です。