栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:IVLの診断/Munchausen症候群/化膿性脊椎炎の再発

カンファ内容です〜。
今年度はアダルトカンファになります(爆)
挑戦挑戦 笑

IVLの診断 Diagnosis of intravascular lymphome

 DLBCLの一亜型ですね。小血管内のリンパ球増殖で、リンパ節腫脹がでにくいのが特徴です。そもそもは1959年にPflegerらが報告したのが初報告で、皮膚生検で血管内に著明な腫瘍細胞浸潤を認めた若年女性報告だった模様です。

 1980年頃にようやく悪性リンパ腫でB細胞性だろうということが判明し、2008年のWHO分類では独自のカテゴリー分類とされています。臨床像は主に2つでWestern formとAsian variantが存在し、前者は中枢神経浸潤、皮膚浸潤、後者は血球貪食症候群や肝脾腫、骨髄浸潤です。浸潤臓器の頻度は中枢神経・腎・肺・心臓・皮膚が多いのですが、なかなか特異的な所見が得られず、ランダム皮膚生検で診断が着くことも少なくない状況です。

 診断においては生検が重要なのですが、どの組織を取るかが難しいところです。過去の報告では、異常細胞が出た臓器として下記の様になっています。

f:id:tyabu7973:20170402195602j:plain(Br J Haematol 2004;127:173-183より引用)

 最も多く出ているのは中枢神経、皮膚、肝臓・脾臓・骨髄あたりなので、この辺りを攻める必要があります。まあ、皮膚や骨髄は比較的取りやすいので、ランダム皮膚生検は有用ですねえ。

 ✓ IVLのillness scriptを作っておこう。困った時のランダム皮膚生検


 

Munchausen症候群 Munchehausen syndrome

 あらためてMunchausen症候群のお勉強。まず、そもそもMunchhausenって誰?というところからですが、ドイツ貴族のBaron Munchhausen男爵が命名の由来で、別名「ほら吹き男爵」です。18世紀に自分が経験した冒険談を周囲に語った男爵で、自分の話した話を出版されて憤慨して死んでしまったという逸話の持ち主ですね。

f:id:tyabu7973:20170402191027p:plain

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%92%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%BC%E3%83%B3%E7%94%B7%E7%88%B5#/media/File:Bruckner_-_M%C3%BCnchhausen.jpgより引用)

 虚偽性障害に分類され、周囲の関心や同情を引くために病気を装ったり、自傷行為を行ったりします。代理もありますが、平成20年度の厚生労働省統計によれば心中以外で虐待死した児童の4.5%が代理Munchausen症候群での死亡だったという報告もあります。恐ろしいですね。

 一つの病気問題が解決すると新たな病気を作り出すのが特徴。重症患者と見せかけるために自傷行為や検体検査のすり替えなどを行う事も報告されています。基本的に疾病を利用して周囲の人間関係を操作したり、同情を買ったり、懸命に病気と闘っている姿をアピールします。空想嘘言癖も多くそもそも病歴や既往歴は空想であることもあります。
 
 根本的な治療方法は確立されていませんし、精神科領域でも非常に治療が困難とされています。効果的な精神医学的治療法もないのが現状。重要なポイントは、各職種で情報を共有し、過剰な検査や治療を行わないことでしょうか。そういった意味で病院という環境にいること自体の問題が大きいかもしれない。また、病院スタッフの意思統一が重要です。

✓ Munchausen症候群の概要を押さえておこう

 

化膿性脊椎炎の再発 Recurrence of S.aureus spondylitis

 化膿性脊椎炎は総合内科的診療をやっていれば切っても切り離せない疾患ですよね。なかなか起因菌も分かりにくいこともあり、治療期間も長いので治療に難渋することも少なくありません。

 感染部位としては、最も多いのが腰椎 45-50%、次いで胸椎 35%、頸椎 3-20%と続きます。治療が不十分だと脊柱管内を進展し、硬膜外膿瘍から他椎体へ感染が進展することもあります。もちろん、骨折や亀背、脊柱管狭窄症などの原因にもなりますね。

 内科的治療の奏功率は75%とも言われ、4人に1人は治療失敗もあるというところでしょうか。再発率は14%という報告(Clin Infect Dis 34(10):1342–1350)もあり、感染症状の悪化、神経症状出現などによる再発が報告されています。

 特に黄色ブドウ球菌はやっかいで数年〜数十年経過してから症状が再燃したなどの報告もあり、やっぱりブドウ球菌やっかいだなあという感じですね。

  ✓ 化膿性脊椎炎の内科的治療の奏功率は75%、忘れた頃に再発することも