栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 緩和ケアを受けている患者ではリスペリドンやハロペリドールはプラセボと比較してせん妄症状を悪化させる

ACPJCです。
せん妄に対する処方は原則注意が必要ですよね
ただし、非薬物療法の即効性の感じにくさが難しいところです。

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Efficacy of oral risperidone, haloperidol, or placebo for symptoms of delirium among patients in palliative care: a randomized clinical trial. 

Agar MR, Lawlor PG, Quinn S, et al. 

JAMA Intern Med. 2017; 177:34-42.

臨床上の疑問:

 緩和ケアを受けている患者では、リスペリドンとハロペリドールはプラセボと比較してせん妄症状を減らすか?

方法:
・デザイン ランダム化比較試験(RCT)
・隠蔽化 隠蔽化あり
・盲検化 盲検化あり(患者・調査者)
・フォローアップ 3日
・セッティング オーストラリア11カ所の入院・緩和ケア病棟
・患者 249人の成人(平均年齢 75歳、男性65%、悪性腫瘍 88%)で、生命予後が限られていて、入院治療もしくは緩和ケアを受けている患者。MDAS(Memorial Derilium Screening Scale)≧7点、NuDESC(Nursing Derilium Screening Scale)≧1点で、これらのスコアは、不適切なふるまい、不適切なコミュニケーション、幻覚幻視スコアの合計点(0-6点)。
・介入 経口リスペリドン n=82、ハロペリドール n=81、プラセボ n=86に割り付け。65歳以下の患者では、リスペリドンのローディング用量 0.5mg+0.5mg/日から開始し、0.5mgを12時間毎に72時間まで投与し、その後増量は0.25-0.5mgずつで最大4mg/日まで。65歳以上の高齢者では、用量は半分とした。
 用量は、NuDESCまたはMDASスコアに基づいて増加又は減少した。全ての患者では必要に応じて、拮抗剤や非薬物療法などについて個別に使用された。
・アウトカム 
 プライマリアウトカムは、NuDESC症状スコア。セカンダリアウトカムは死亡率。NuDESC1点を同定するためにはα=0.05でパワー80%、標準偏差1.92で算出された結果、55人の患者が必要と算出された
・患者フォローアップ 99%、ITT解析

結果:
下記の通り

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(本文より引用)

結論:
 緩和ケアを受けている患者では、リスペリドンとハロペリドールはプラセボと比較してせん妄症状を増やし、ハロペリドールは死亡も増やした。

  せん妄は緩和ケア領域の患者本人、家族、介護者、スタッフにとって非常に難しい合併症の一つです。抗精神病薬の使用は原則的には本人が苦痛を示していない限りは、家族や介護者の負担を軽減するために役立つというのがメインです。
  今回の結果では、せん妄症状を逆に増やしたり、死亡を増やしたりといった結果からは、使用は推奨されません。非薬物療法のエビデンスは十分とは言えませんが、リスクは低いため原則患者中心のケアとして最初に試みるべきです。具体的には、水分補給、栄養維持、拘束を避ける、離床、睡眠衛生、感覚補助(補聴器や視力補助)、レクリエーション活動などがあります。