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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:RCT 静脈血栓塞栓症の長期治療に対するリバロキサバンまたはアスピリン

静脈血栓塞栓症の長期治療に対するリバロキサバンまたはアスピリン
Rivaroxaban or Aspirin for Extended Treatment of Venous Thromboembolism

n engl j med 376;13 nejm.org March 30, 2017

【背景】
 多くの静脈血栓塞栓症(VTE)患者は長期治療を必要とするが、通常用量または低用量の抗凝固療法とアスピリンでは、どちらがよいかは分かっていない
【方法】
 第III相RCTで、VTE患者3396例をリバロキサバン 20mg群・10mg群、アスピリン 100mg群に割り付け1回/日投与した。全例が6-12ヵ月の抗凝固療法を完了し、同様に抗凝固療法継続を必要とした。試験薬は最長12ヵ月間投与した。
 プライマリアウトカムは致死的・非致死的症候性VTEの再発とし、安全性のアウトカムは重大な出血とした。
【結果】
 3365 例をITT解析の対象とした(治療期間中央値 351日)。プライマリアウトカムは、リバロキサバン20mg 群では17/1107人(1.5%)、10mg群では13/1127人(1.2%)発症、アスピリン群で50/1131人(4.4%)に発生した。(リバロキサバン20mgのアスピリンに対するHR 0.34:0.20-0.59、リバロキサバン10mg のアスピリンに対するHR 0.26:0.14-0.47)

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(本文より引用)
 重大な出血の発生率は、リバロキサバン20mg群 0.5%、10mg群 0.4%、アスピリン群 0.3%であり、重大ではないが臨床的に重要な出血の発生率は、それぞれ 2.7%、2.0%、1.8%だった。有害事象の発現率は 3群で同程度だった。
【結論】
 VTEを発症し抗凝固療法の継続を同様に必要としていた患者集団では、リバロキサバンの治療量(20mg)または予防量(10 mg)の投与は、アスピリンと比較してVTEの再発リスクが有意に低く、出血率に有意な上昇は認められなかった
【批判的吟味】
・いつも通り論文のPICOから
P:静脈血栓塞栓症(肺塞栓・深部静脈血栓含む)患者で6-12週の抗凝固療法を完了した患者3365人
I:①リバロキサバン 20mg群、②リバロキサバン 10mg群
C:アスピリン群
O:深部静脈血栓症の再発率、重大な出血発生率
T:ランダム化比較試験/ITT解析
・RCTの規模としては大きく、ランダム割り付けの方法にも特に問題は見当たりません。
・ITT解析も行われており、追跡率も良好です。
・プラセボ今後トロールが置かれていないので、治療しないという選択肢とは比較できません。ただ、過去にアスピリンによるVTE再発予防効果はプラセボ比較でなされており(N Engl J Med 2012; 366:1959-1967)、これは大きな問題はないかもしれません。
・今回はProvokedとUnprovoked両方ともに含まれており、Provoked が60%前後であり、通常だと抗凝固をやめても良い人達がかなり多く含まれています
・20mgと10mgでは効果は優位性なく、どちらでも良いかなと思います。
【個人的な意見】
 これ、結構衝撃でした。プラクティス今後変わっていくかもしれませんが、まだちょっと微妙な所ですね。今後の追加データが出てきて変えるかなあ。Provokedでも効果があるのはビックリしましたね。

✓ 静脈血栓塞栓症の長期治療にはアスピリンよりもリバロキサバンが良い