栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Clinical Prediction Guide Glasgow Blatchfordスコアは他の4つのスコアよりも上部消化管出血患者で死亡や介入を予測する

ACPJCです。
消化管出血予測スコアですねえ。
時々使いますが、止血する側に回ってからはあまり重視しなくなっちゃいました。
でも、逆に止血しない側がこれを持ち出して、内視鏡を迫るのもいかがなものかと・・・決めゴトにしちゃうのも一つですが、あまりバッサリ区切られてもねえ・・・

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Comparison of risk scoring systems for patients presenting with upper gastrointestinal bleeding: international multicentre prospective study. 

Stanley AJ, Laine L, Dalton HR, et al; International Gastrointestinal Bleeding Consortium. 

BMJ. 2017;356:i6432.

臨床上の疑問:
 上部消化管出血患者では、Glasgow Blatchford(GBS)、admission Rockall(ARS)、AIMS65、full Rockall(FRS)、Progetto Nazionale Emorragia Digestiva(PNED)スコアは、内視鏡介入や死亡、その他の臨床アウトカムを予測できるか?アウトカムを予測する最適閾値はどこか?

方法:
・デザイン 5つの過去に開発された臨床予測スコア(CPR)のValidationコホート研究
・セッティング 米国・スコットランド・英国・デンマーク・シンガポール・ニュージーランドの6カ所の大規模病院
・患者 3012人の成人(平均65歳、58%が男性)で、救急外来や急性期ユニットに上部消化管出血で来院した患者。69%が内視鏡検査を施行された。
・予測ガイドの適用 
3つの内視鏡前スコア
□GBS:Hb値・BUN・収縮期血圧・メレナ・失神・心不全・肝不全
□ARS:年齢・ショック・合併症
□AIM65:アルブミン・INR・意識レベル・収縮期血圧・年齢
2つの内視鏡後スコア
□FRS:年齢・ショック・合併症・診断・主要な出血か
□PNED:ASAスコア・入院時間・Hb値・年齢・腎不全・再出血・悪性腫瘍・肝硬変・内視鏡治療の失敗

が適用された。

・アウトカム プライマリアウトカムは複合アウトカム(輸血・内視鏡治療・放射線または外科的介入)または30日死亡とした。セカンダリが内視鏡治療の必要、死亡、再出血、入院期間。

結果:
 30日以内に45%の患者が介入を必要とし、7%が死亡した。AUROCの結果が以下の表の通り。外来で管理できるかどうか低リスク群を同定するカットオフは、それぞれGBS≧1点、AIMS65 0点、ARS 0点が高感度(各99%、82%、96%)で、特異度はそれぞれ低かった(33%、50%、23%)。
 再出血や入院期間についてのAUROCはPNEDが0.85である以外は全て0.8以下だった。

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(本文より引用)

結論:
 上部消化管出血患者では、Glasgow Blatchford(GBS)が、他の4スコアよりも入院介入・死亡を予測した。適切な閾値はGBS≦1点で外来管理するのが妥当と考えられた。

 リスクを層別化するCPRはスマートフォンで簡単に利用できるように也、更に利用価値が高まっています。今回は内視鏡情報が不要で、救急外来レベルで使用出来るGBSの有用性が証明されました。

  今までの検証はサンプルサイズが少ないなどの問題がありましたが、今回国際的な大規模コホートで効果が証明された形です。カットオフをどこに持っていくかも問題で、0点の様な低すぎるカットオフだと、該当する患者が少なすぎて入院率への影響は与えないという報告もあります。一方、2点以上だと治療不要な人が入院してしまうリスクが高まるとしています。今回の結果が適用されると、消化管出血患者の5人に1人がGBS≦1点で低リスクと分類され、費用削減に繋がるとも試算されています。