栃木県の総合内科医のブログ

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論文:SR COPD患者に対するLABA/LAMA併用 vs LAMA単剤 or ICS/LABA

COPD患者に対するLABA/LAMA併用 vs LAMA単剤 or ICS/LABA
LABA/LAMA combinations versus LAMA monotherapy or LABA/ICS in COPD: a systematic review and meta-analysis

International Journal of COPD 2017:12 907–922

【背景】
 ランダム化比較試験(RCT)では、長時間作用型の気管支拡張薬の併用(LABA/LAMA)は、一般的にCOPD治療に用いられる薬剤より効果があることが示されている。本分析では、中等度から重症の安定したCOPD患者のLAMA/LABAの有効性と安全性を、LAMAもしくはLABA/ICSと比較することを目的とした。
【方法】
 このSR・メタ解析は、PubMed/MEDLINE、Embase、Cochrane Library and Clinical trial、データベースを検索し、12週間以上のLAMA/LABA治療とLAMAやLABA/ICSを比較したRCTが組み入れられた。組み入れ研究は、2人の著者が事前に定義したデータフィールドを用いて独立して選択した。
【結果】
 18研究(23トライアル)が組み入れられた(n=20185人)。LAMA/LABAは12週後のFEV 1.0をLAMAおよびLABA/ICSと比較して有意に改善した。また、臨床的に有意な改善であるFEV1.0>100mlも、LAMAのRR 1.33:1.20-1.46、LABA/ICSのRR 1.44:1.33-1.56で有意にLAMA/LABA群の方が良かった。それぞれNNTは、8と6だった。

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(本文より引用)
 LAMA/LABAは、12週時点でSt.Georgeの呼吸質問紙スコアをLAMAと比較して有意に改善したが、LABA/ICSでは有意差がつかなかった。また、レスキュー薬剤の使用は両群と比較して減少した。LAMA/LABAは中等度から重症の増悪をLABA/ICSと比較して有意に減らした(RR 0.82:0.75-0.91)。
 有害事象の発生率は、LAMA/LABAとLAMA単剤では有意差は無かったが、LABA/ICSよりは少なかった(RR 0.94:0.89-0.99)。また、肺炎リスクはRR 0.59:0.43-0.81と有意に低かった。LABA/LAMAは効果が無いために中断する割合はLAMA単剤より有意に少なく(RR 0.66:0.51-0.87)、副作用による中断はLABA/ICSより少なかった(RR 0.83:0.69-0.99)。
【結論】
 LAMA/LABAはLAMA単剤およびLABA/ICSと比較して、効果が大きく安全性も高かったため、COPDにおける第一選択肢としての役割が潜在的にあると考えられる。今回は実臨床で用いられている用量で試験が行われており、これらの結果は直接応用可能である

【批判的吟味】
 論文のPICOは
P:中等症から重症のCOPD患者のランダム化比較試験
I:LAMA/LABA吸入
C:①LAMA単剤、②LABA/ICS
O:FEV1.0、呼吸質問指標、COPD増悪、副作用
T:SR/メタ解析
・チオトロピウム研究はオープンラベルだった。
・基本的に病状が安定している方が組み入れられているので、外的妥当性は高くない
・LAMA/LABAとLABA単剤は比較されていない
・長期予後については十分評価されているとは言えない
【個人的な意見】
 ついに群雄割拠時代に終止符が打たれるのでしょうか?まあ、まだ飛びつくには早い気がしますが、現在発売されているLAMA/LABA合剤として、ウルティブロⓇ、アノーロⓇ、スピオルトⓇの3つがあるようですね。LAMAの種類はそれぞれ異なっており、グリコピロニウム(シーブリⓇ)、ウメクリジニウム(エンクラッセⓇ)、チオトロピウム(スピリーバⓇ)になります。さあ、少し使用を考えていかないと。

✓ COPD患者に対するLAMA/LABAは、LAMA単剤やICS/LABAと比較して効果と安全性が高い