栃木県の総合内科医のブログ

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症例:Lancet infect dis 61歳男性 浅い食道潰瘍

case report紹介です。
最近は日本人のcase report増えてますね。今回は多摩総合医療センターからです。こちらもクイズにしておきます。

症例:61歳男性 浅い食道潰瘍

Lancet Infect Dis 2016; 16: 384

 61歳男性、15年前に急性骨髄性白血病に対して臍帯血移植歴のある日本人。皮膚の慢性GVHDがあり、今回は十二指腸潰瘍による出血で入院した。維持用量でPSL 5mgを内服していた。クリップによる内視鏡的止血術とPPIで完全に治癒した。
 消化管出血7日後に、再度内視鏡検査が施行されたところ、多発の新規発症の浅い食道潰瘍を認めた。病変のいくつかは、全周性や非連続性だった。

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(本文より引用)

 

質問. 診断は

 

回答:
診断:ヘルペスウイルスによる食道潰瘍

経過:
 病変の食道生検が行われ、組織病理学的検査では、風船様変性および多核性上皮細胞と好酸球性核内封入体を認めた。f:id:tyabu7973:20170428005756j:plain

(本文より引用)
 生検結果では、悪性腫瘍もGVHDを示唆する所見も認めなかった。検体の免疫組織学的染色では、単純ヘルペスウイルス陽性、サイトメガロウイルス陰性だった。肉眼的および組織病理学的所見に基づいて、単純ヘルペスウイルス性食道潰瘍と診断された。アシクロビル静脈内投与を10日間終了後に、内視鏡検査では異常所見を認めなかった。

解説:
 単純ヘルペスウイルスは、感染性の食道炎を引き起こす最も一般的な病原微生物の一つである。単純ヘルペス肉芽腫は、骨髄移植後などの免疫不全状態の患者で見られるが、免疫正常患者でも報告がある。その他では、サイトメガロウイルスやカンジダなどの病原体に起因する食道炎が報告されている。
 診断は、肉眼的な食道内視鏡検査所見、組織病理学的検査、生検標本の免疫組織生化学染色の組み合わせによって確認される。内視鏡検査によって同定される食道ヘルペス病変は、典型的には火山様潰瘍(Volcano ulcers)、散在性・び漫性の浅い潰瘍が特徴である。Cowdry A型封入体は単純ヘルペス食道炎の生検検体の古典的な病理組織学的所見であり、生検標本の70%程度に観察される。