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栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:よくならない喘息/MCTD?/感染後肉眼的血尿

もうすぐGWですね。と、前回言いましたが始まる前に次が来ちゃいました。2問目はMCTDと思いましたけど何だかなぁ。。

 

Q1

 47歳男性。喘息が悪化したため受診。日中の喘鳴、咳嗽があり、週に2-3回は夜起きてしまう。毎日吸入薬を使っているが改善がない。最近の風邪、副鼻腔炎、後鼻漏、抗原曝露はない。吸入薬はコルチコステロイドとアルブテロールを使っている。体温37℃、血圧135/80、脈拍80、呼吸数18。両側びまん性にwheezes聴取。1秒率は吸入により70%から90%へと改善した。

 

問 次の一手は

A 抗ロイコトリエン受容体拮抗薬追加

B プレドニゾン追加

C 吸入している様子を観察

D 2週間症状とピークフロー日記をつける

 

①よくならない喘息

 次の一手は患者の吸入方法をチェックすることである。治療に抵抗性であるが、新たな薬剤追加の前に正しく吸入できているか確認することが大切である。喘息のコントロール不良でよくある原因である。市場にはMDIやDPI等の吸入キットが出回っている。正しい吸入は口内炎や発声障害等のステロイドの副作用を減らす。なかなかの割合の患者が初回処方時、正しい吸入方法を習得できていない。正しい指導が喘息コントロールの第一歩である。

②他の選択肢

 抗ロイコトリエン受容体拮抗薬は喘息の治療として適切であるが、ステロイドとβ刺激薬がうまく使えてからである。

 プレドニゾンも現治療が適切に行われてからの選択肢。ステロイドは喘息治療で劇的な効果があるが、長期使用による副作用が懸念される。

 ピークフロー測定は症状と肺機能をモニターする上で便利である。病識の乏しい患者では症状が出る前に喘息のコントロールをチェックでき、気道閉塞を予測できる。今症状を改善させるわけではない。

 

POINT ちゃんと吸えてますか?

Haughney J, Price D, Kaplan A, et al. Achieving asthma control in practice: understanding the reasons for poor control. Respir Med. 2008;102(12):1681-1693. PMID: 18815019

 

Q2

 23歳女性。1年前から朝のこわばり、レイノー現象を伴う手の痛みがある。2ヶ月前、胸背部の日光過敏と手の色素脱失斑を経験した。体温36.4℃、血圧106/66、脈拍60、呼吸数16。呼吸音正常。両肘の伸側、MCP関節、PIP関節に集簇した紅斑、紫斑があり、角質肥厚を伴う爪の毛細血管の異常が見られた。四肢近位筋の筋力低下、滑膜炎のないMCP関節、PIP関節の圧痛を両側に認めた。血沈82、CK650、抗核抗体160倍(speckled型)。胸部レントゲンは正常範囲。筋電図は神経原性ではない筋興奮。

 

問 初期治療は

A 免疫グロブリン静注

B プレドニゾン

C プレドニゾン+アザチオプリン

D プレドニゾン+メトトレキサート

 

①皮膚筋炎の治療

 強い筋炎症状がなく、筋外症状のない皮膚筋炎ではプレドニゾンによる治療が勧められる。患者は皮膚筋炎に特徴的なGottron徴候がある。他にも倦怠感、関節痛、レイノー現象、爪変化、近位筋力低下、日光過敏があり矛盾はない。この患者は熱、体重減少、心臓、肺、消化器症状等の筋外症状がなく、高容量のプレドニゾンによる治療が推奨される。この治療はCKが正常化するまで4週間程度は続け、その後漸減していく。症状がひどい時はステロイドパルス療法が行われることもある。骨密度は測っておき、予防的にカルシウム、ビタミンD、ビスホスホネートを投与する。筋炎のある患者は同時に理学療法、作業療法を行う。運動は耐容能を上昇させ心肺にとってよい。運動では基本的にCKは上昇しない。

②他の選択肢

 免疫グロブリンはステロイドと併用するか、ステロイドが禁忌の場合や免疫不全で使用する。

 アザチオプリンやメトトレキサートのような免疫抑制療法はステロイド抵抗性やステロイド代替、病勢が強い時、筋外症状が出て予後が悪い時等に考慮する。

 

POINT 皮膚筋炎はまずステロイド

Iorizzo LJ 3rd, Jorizzo JL. The treatment and prognosis of dermatomyositis: an updated review. J Am Acad Dermatol. 2008;59(1):99-112. PMID: 18423790
  

Q3

 25歳男性。暗い色の尿が出て尿量が減った。5日前から乾性咳嗽、鼻汁、咽頭痛、微熱を伴う上気道感染があり、市販のNSAIDsを飲んだ。軽度の筋肉痛、両側腹部痛も自覚しているが、嘔気や下痢、排尿時痛は自覚していない。血圧135/88。咽頭発赤あるが浸出はない。頚部リンパ節腫脹と軽度のpitting edemaあり。超音波検査で腎臓は正常で閉塞は疑われない。

Laboratory studies:

Hemoglobin

9.8 g/dL (98 g/L)

Leukocyte count

9800/µL (9.8 × 109/L) with normal differential

Platelet count

258,000/µL (258 × 109/L)

C3

100 mg/dL (1000 mg/L)

C4

Normal

Creatine kinase

95 units/L

Serum creatinine

2.3 mg/dL (203 µmol/L)

Antistreptolysin O antibodies

Negative

Urine myoglobin

Negative

Urinalysis

Dark red–appearing urine with >100 erythrocytes/hpf; 2-3 leukocytes/hpf; no bacteria

 

問 急性腎障害(AKI)の原因は

A 鎮痛薬毒性

B IgA腎症

C 感染後糸球体腎炎

D 横紋筋融解症

 

①感染後の血尿

 肉眼的血尿とAKIのコモンな原因はIgA腎症である。気道感染や消化器感染後の肉眼的血尿は原発性IgA腎症の最初のプレゼンテーションである。感染が粘膜を活性化しIgA分泌を促し、それが糸球体で障害や出血を引き起こす。AKIを起こす機序は、赤血球円柱による閉塞で起こる急性尿細管壊死や遊離ヘモグロビンや鉄が脂肪酸化やフリーラジカルを引き起こすこと、ヘモグロビンがNOを貪食して血管収縮や酸素供給減少を引き起こすこと等、様々考えられている。IgA腎症で肉眼的血尿があるAKIは予後がよく、しばらくすると血尿は治まる。10日以上持続する血尿、50歳以上での発症、GERの著しい低下、病理学的な糸球体損傷はCKDのリスクである。病理で糸球体半月が見られたら予後が悪く、補助療法に加え免疫抑制剤を検討する。

②他の選択肢

 NSAIDsは特に高用量の際、AKIを引き起こしうる。典型的には糸球体損傷はないので血尿は出ない。

 溶連菌感染後に糸球体腎炎になることはあるが、この患者は潜伏期が短い。また、補体低下やASO抗体の上昇もない。

 横紋筋融解症は筋肉の損傷により、その構成物であるミオグロビンが体循環に漏れ出ることで起こる。上気道感染により筋肉が損傷した可能性もあるが、CK上昇や尿中ミオグロビン陰性からは否定的である。

 

POINT NSAIDs毒性に肉眼的血尿なし

Gutiérrez E, González E, Hernández E, et al. Factors that determine an incomplete recovery of renal function in macrohematuria-induced acute renal failure of IgA nephropathy. Clin J Am Soc Nephrol. 2007;2(1):51-57. PMID: 17699387