栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Etiology CKD・CHF・CLDに対するメトホルミンの効果

ACPJC紹介します。
今回はAnnalsから。
これは以前の抄読会ネタでも紹介しましたが、興味深いのでもう一度。
SRの質としては微妙かもしれません。

 

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Clinical outcomes of metformin use in populations with chronic kidney disease, congestive heart failure, or chronic liver disease: a systematic review. 

Crowley MJ, Diamantidis CJ, McDuffie JR, et al. 

Ann Intern Med. 2017:166;191-200.

臨床上の疑問:
 2型糖尿病患者で中等度から重度のCKDや心不全(CHF)、慢性肝疾患(CLD)を合併している患者では、メトホルミンは効果的か?

レビュースコープ:
 英語文献で18歳以上の2型糖尿病患者に対するメトホルミン治療群(単独もしくは他薬剤併用)とメトホルミン非使用群を比較した研究で、CKD(eGFR <60ml/min)・CHF・CLDの1つ以上を合併しているもしくは高齢者の研究が組み入れられた。OECD加盟国の34ヵ国からの患者が中心。
 除外基準は、禁忌や注意が<80%、2型糖尿病患者が<80%、サブグループ解析の報告なし、全糖尿病・メタボリック症候群・妊娠糖尿病・CKDなしのAKI・終末期腎不全/透析中・造影剤曝露など。
 アウトカムは、全死亡・心血管死亡・再入院。

レビュー方法:
 PubMed(1994-2016)・EMBASE/Excerpta Medica・Cochrane Central Registry of Controlled trial(Central)・International Pharmaceutical Abstracts(全て1994-2015年11月)、ClinicalTrials.gov・Bristol-Myers Swuibbと
それ以外のリファレンスリストから、RCT・非ランダム化の比較試験・前向き・後ろ向き観察研究が組み入れられた。
 17観察研究(平均年齢 54-78歳、フォローアップ:4か月から10年)が組み入れ基準を満たし、CKD研究が6件、CHF研究が11件、CLD研究が3件だった。3研究はCKD・CHFどちらも含まれていた。組み入れられた研究では、eGFRは30-60ml/minだった。十分なデータがあればエビデンスの強さの評価のためにGRADEシステムが用いられた。

結果:
 主要結果は以下。基本的にCKD・CHFがあっても全死亡がヘリ、心不全の再入院も減る結果。

 

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(本文より引用)

結論:
 2型糖尿病患者で中等度から重度のCKD患者では、メトホルミンの使用は全死亡減少に関連していた。心不全(CHF)患者では、メトホルミン使用が全死亡減少と再入院低下と関連した。

 ビグアナイド剤は1970年代に一度致死的な乳酸アシドーシスで市場から姿を消しています。この時、特に腎不全患者で見られたことから、伝統的にCKD患者での使用に注意が必要とされています。この時のビグアナイドはフェンホルミンでした。メトホルミンについては、同様のエビデンスがあるわけではないものの、元々のビグアナイド薬と同様の注意事項が共有されていました。
 今回、新たなシステマティックレビューでは、eGFR<30ml/minの重度のCKD患者でもメトホルミンの全死亡への効果が得られることが明らかになりました。もちろん、日本の添付文書に従う必要はありますし、CKD stage 4-5は除外されていることには注意です。今回CLD患者ではメタ解析ができていません。あと注意なのはこのメタ解析では個々の研究のメトホルミンの量は抽出されていないことは注意が必要です。
 メトホルミンは効果的で安全、安価な治療薬であることは認識すべきです。だいたい効果としては、HbA1c で1.12%程度下げる効果があると言われています。