栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics 無症状患者に対する閉塞性睡眠時無呼吸症スクリーニング効果は不十分

ACPJC紹介します。
今回はJAMAに掲載されていたUSPSTFの推奨です。
勉強になりました。

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Screening for obstructive sleep apnea in adults: US Preventive Services Task Force recommendation statement. 

Bibbins-Domingo K, Grossman DC, Curry SJ, et al. 

JAMA. 2017;317:407-14.

臨床上の疑問:
 無症状(未診断含む)患者に対する閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)のプライマリケアレベルでのスクリーニングの正確性・効果・害はどの程度か?

ガイドライン作成方法:
 USPSTFで作成されるガイドラインは、システマティックレビューに基づいて作成され、MEDLINE・EMBASE/Excerpta Medica・Cochrane Library(全て2015年10月まで)、ClinicalTrials.gov・WHO International Clinical Traials Registry・リファレンスリストでOSAスクリーニング群と非スクリーニング群や治療内容を比較したランダム化比較試験を組み入れた。また、18歳以上の無症状もしくは未診断のOSAに対するスクリーニング質問紙表や予測スコアの正確性を夜間のポリソムノグラフィーと比較した研究が検索された。
 ドラフトバージョンの推奨はコメント募集のために公開された。

推奨:
 現時点では、無症状患者に対するOSAスクリーニングの効果と害を評価するためのエビデンスは不十分だった。エビデンスが不足したり、質が低かったり、結果が相反しており、決定は出来なかったが、以下のサマリーが提出されている。

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(本文より引用)

結論:
 USPSTFは、無症状患者に対する閉塞性睡眠時無呼吸症スクリーニングの効果と害についてのエビデンスは不十分であると結論した

 さて、突然死予防と謳われているOSAに対するスクリーニング・CPAPなどの治療ですが、実は心血管イベントや死亡を減らしたという明確なエビデンスはありませんあくまで、AHIスコアや血圧2mmHg程度の低下や睡眠関連のQOL改善が、しかもあまり質の高くないエビデンスとして報告されているとのこと・・・OSAと突然死は、相関関係はあるけど、因果関係は不明ということでしょうか。

 そもそも中等度以上のOSAが脳卒中・高血圧・糖尿病・心血管イベント・自動車事故・死亡率との関連があることは報告されています(JAMA. 2017;317:415-33.)。治療介入効果は・・・ということです。ただ、注意すべきは今回検証されたのは、あくまで無症状患者に対するスクリーニング効果です。肥満や心血管リスクの高い方にそのまま”意味ないよ〜”と適用するのは不適切かもしれません。睡眠時無呼吸症候群自体は、プライマリケアレベルでは未だNeglected diseaseであり、その存在について医師も患者も話題にしていないという問題もあります。その介入機会を逃さずに適切に必要な人に届ける事が重要です。

 死亡率や心血管イベントが減らなくてもQOLが上がれば良いということもありますが、その害の検証も不十分ということを考えると、今後どういった方により効果が高いのか、リスクの層別化と効果の最大化を目指しつつ、SDMの実践が重要になるでしょう。・・・最後は当たり前か。