栃木県の総合内科医のブログ

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ACPJC:Therapeutics 2型糖尿病の肥満患者に対する肥満手術は薬物療法と比較して5年後のHbA1c値を改善する

ACPJC紹介です〜。
さてさて、まあBMI 27-43kg/m2の人々ですけどね・・・

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Bariatric surgery versus intensive medical therapy for diabetes—5-year outcomes. 

Schauer PR, Bhatt DL, Kirwan JP, et al; STAMPEDE Investigators. 

N Engl J Med. 2017;376:641-51.

臨床上の疑問:
 コントロール不良の2型糖尿病を合併した肥満患者で、肥満手術と薬物療法の血糖コントロールなどの長期効果や安全性はどうか?

方法:
・デザイン:ランダム化比較試験、Surgical Treatment and Medications Potentiallly Eradicate Diabetes Efficiently(STAMPEDE)trial
・隠蔽化:あり
・盲検化:非盲検
・フォローアップ期間:5年
・セッティング:米国オハイオ州のClevelandセンター
・患者:20-60歳で、HbA1c>7.0%、BMI 27-43kg/m2の成人(平均49歳、女性 66%、平均HbA1c 9.2%)150人が組み入れられた。
・介入:Roux-en-Y胃バイパス術(RYGB)+薬物療法群(n=50)、スリーブ胃切除術+薬物療法群(n=50)、薬物療法単独群(n=50)
・アウトカム:プライマリアウトカムは血糖コントロール(HbA1c≦6.0%)
 セカンダリアウトカムは、HbA1cの変化率、体重、QOL(RAND 36 Item Health Survey)、有害事象
・患者フォローアップ率:89%

結果:
 HbA1cと体重の結果は下記の通り。5年時点でのHbA1c≦6%率は、手術群の方が有意に低下でNNT 5-6前後
 その他全般的な健康状態や体の痛みは改善する。

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(本文より引用)

結論:
 コントロール不良の2型糖尿病を合併した肥満患者では、薬物療法に胃手術を加えることによって、薬物療法単独群と比較して、5年後の長期血糖コントロールを優位に改善する

 過去の研究からは2型糖尿病患者に対する肥満手術の短期効果は証明されていますが、長期の効果持続性については不確実とされていました。例えば、Swedenからの長期観察研究では、初期の寛解率が72%だったのに対して、15年後には30%まで低下したことが報告されています(JAMA. 2014;311:2297-304.)。

 肥満手術の効果は華々しくアピールされたものの、最近は少し効果がそれほど高くないのでは?という意見が出てきている模様です。ただ、今回はHbA1c>9%のコントロール不良群で、インスリン使用者44%という猛者相手に、これだけの寛解率を示し、血糖降下薬使用もRYGB群で有意に減らしていました。