栃木県の総合内科医のブログ

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論文:RCT 新規カリウムイオン競合型酸抑制薬であるボノプラゾンをピロリ菌除菌のレジメンに加えた治療効果

新規カリウムイオン競合型酸抑制薬であるボノプラゾンをピロリ菌一次除菌のレジメンに加えた治療効果
Vonoprazan, a novel potassium-competitive acid blocker, as a component of first-line and second-line triple therapy for Helicobacter pylori eradication:a phase III, randomised, double-blind study

Murakami K, et al. Gut 2016;65:1439–1446. doi:10.1136/gutjnl-2015-311304

【目的】
 本研究の目的は新規カリウムイオン競合型酸抑制薬であるボノプラゾンをピロリ菌除菌のレジメンに加えた際に、その効果・安全性・耐用性を評価することである。
【デザイン】
 胃十二指腸潰瘍既往のある患者に対する、一次除菌のレジメン(AMPC 750mg+CAM 200-400mg)でボノプラゾン(タケキャブⓇ) 20mgを含む群とランソプラゾール 30mgを含む群のランダム化、二重盲検、多施設比較研究による非劣性試験が行われた。アドヒアランスは良かったが一次除菌に失敗した50例は、ボノプラゾンベースの二次除菌(AMPC 750mg+MNZ 250mg)のオープンラベル試験に組み入れられた。
【結果】
 650人の患者がランダムに一次除菌を進められた。641人が一次除菌療法を受け、50人は二次除菌治療を行った。一次除菌群では、プライマリアウトカムである除菌率はボノプラゾン群 92.6%(95%CI:89.2-95.2%)、ランソプラゾール群 75.9%(95%CI:70.9-80.5%)で、絶対差は16.7%(95%CI:11.2-22.1%)とボノプラゾンに有意な結果であり、非劣性が証明された。

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(本文より引用)

 二次除菌については、除菌率は98.0%(89.4-99.9%)だった。一次除菌においてボノサップ群もランソプラゾール群も耐用性は良好だった。二次除菌も同様だった。

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(本文より引用)
【結論】
 ボノプラゾンは胃十二指腸潰瘍既往のあるピロリ菌患者に対する一次除菌および二次除菌のレジメンとして効果的だった。
【批判的吟味】
・大分大学の消化器科の先生方のデータです・・・が、武田薬品の社員の方が論文作成には関わっており資金提供も受けている研究で、COIあり!の状態です。
P:胃十二指腸潰瘍患者
I:ボノプラゾン含有の除菌レジメン
C:ランソプラゾール含有の除菌レジメン(スタンダード)
O:ピロリ菌除菌率
T:ランダム化比較試験
・クラリスロマイシンの用量固定はされていません。まあ、除菌率には関係ないので・・・という過去のエビデンスを元にそう判断されている様子です。
・プライマリアウトカムは除菌率ですが、あくまでサロゲートアウトカムですので、本当にこれで将来的な潰瘍再発や癌が減るかはよく分かっていません。
・現時点でその他に質の高いRCTが無い以上、この研究だけをもってボノサップを使用した除菌に移行していきましょう!というのは時期尚早であろうと思います。今後の追加検証を待ちましょう・・・
【個人的な意見】
 カンファレンスでボノサップⓇの話が出ていたので、読んでみたのですが、確かにパット見ると除菌率は高いです。ただ、やはりCOI気になりますね。相手のPPIも結局武田の商品なんですねえ。

✓ ボノプラゾンを含んだピロリ菌除菌レジメンはランソプラゾールレジメンよりも除菌効果が高い