栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Therapeutics COPD患者では多価肺炎球菌ワクチンは市中肺炎リスクを減らす

ACPJC紹介です〜。
このテーマでようやくという・・・
コクランからです。

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Pneumococcal vaccines for preventing pneumonia in chronic obstructive pulmonary disease. 

Walters JA, Tang JN, Poole P, Wood-Baker R. 

Cochrane Database Syst Rev. 2017;1:CD001390.

臨床上の疑問:
 COPD患者では、多価肺炎球菌ワクチン接種は肺炎リスクを減らすか?

レビュースコープ:
 成人COPD患者に対する多価肺炎球菌ワクチン(ポリサッカライド:PPV・結合型:PCV・その他)とコントロール群(プラセボもしくはワクチンなし)を比較した研究を組み入れた
 プライマリアウトカムは、肺炎、全死亡、呼吸器疾患関連死亡、医療機関利用。その他のアウトカムはCOPD増悪。

レビュー方法:
・リソース:Cochrane Airways Specialized Register、MEDLINE、EMBASE/Excerpta Medica、CENTRAL、ClinicalTrials.gov、WHO trials portal(2016年11月まで)。肺炎球菌ワクチンの開発者のデータベースやリファレンスリストでランダム化比較試験が検索された。
・研究:12RCT(n=2171人、平均66際、67%男性)が組み入れ基準を満たした。9研究は23価PPV、3研究は14価PPV、1研究は7価PCVを評価した。
・バリエーション:6RCTはワクチンなしを、3RCTはプラセボを、2RCTはインフルエンザワクチンとプラセボと比較し、1RCTは23価PPV vs 7価PCVだった。
・研究の質:3RCTは適切な隠蔽化、4研究が患者・スタッフが盲検化、2研究はアウトカム評価者、6研究が不完全なアウトカムデータを適切に扱っていた

結果:
 メタ解析ではPPVはプラセボと比較して市中肺炎とCOPD増悪を減らした。肺炎球菌肺炎、全死亡、肺疾患関連死亡、全入院は有意差を認めなかった。
 48ヶ月フォローした1RCT(n=181人)では、23価PPVと7価PCVでは市中肺炎発症率 RR 1.01:0.44-2.31、全死亡 RR 1.77:0.54-5.84、全入院 RR 0.93:0.58-1.50、COPD増悪 RR 1.04:0.76-1.41ともに有意差を認めなかった。

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(本文より引用)

結論:
 COPD患者では多価肺炎球菌クチンは6-36ヶ月後の市中肺炎を減らす

 前回は2010年にコクランレビューがありましたが、その後5件の新しいRCT結果が追加されています。また、近年肺炎球菌ワクチン接種率が上昇していることも報告されています。問題はその効果ですが、今回のメタ解析でも対照群の肺炎球菌肺炎発症率はわずかに1.1%であり、現時点では症例数が不足しているがために効果が検出されにくかった可能性があります。

 今回のレビューではCOPD増悪に対する減少効果が報告され、この効果は実は吸入薬で認められる減少効果とほぼ同じくらいの程度だったとのこと。PCVの研究は少なく今後PCV vs PPVの結果が待たれます