栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

MKSAP:術後サーベイランス/ストックリンは妊婦禁/接触性皮膚炎

今週は問題短めなので早めのupです!thrushって口腔カンジダのことなんですね。英語の勉強しないとな。

 

Q1

 57歳女性。下行結腸にStageⅢの腺癌があり、8か月前に左半結腸切除術を施行し、術後6ヶ月の化学療法を行った。患者は完全に回復し、日常生活動作、運動機能は正常である。他に既往はなく、ビタミンと鉄剤を飲んでいる。体温36.7℃、血圧135/85、脈拍82、呼吸数14。手術痕はよく治癒しており、腹部平坦軟、圧痛、肝脾腫なし。腸蠕動音正常。肝機能正常。3-6ヶ月毎のCEAフォロー、1年後とその後3-5年毎の下部消化管内視鏡のフォローを予定した。

Laboratory studies:

Hemoglobin

13.1 g/dL (131 g/L)

Leukocyte count

6000/µL (6.0 × 109/L)

Platelet count

329,000/µL (329 × 109/L)

Total bilirubin

0.7 mg/dL (12.0 µmol/L)

Carcinoembryonic antigen (CEA)

2.1 ng/mL (2.1 µg/L) (upper limit of normal 5.0 ng/mL [5.0 µg/L])

 

問 追加でフォローすべき検査は

A 術後3年は年1回のCT

B 術後10年は年1回のCT

C 術後5年は年1回のPET

D 追加不要

 

①術後サーベイランス

 患者はStageⅢの大腸癌の治療を完遂した。術後サーベイランスの内容は身体診察、の3-6ヶ月毎のCEAフォロー、3-5年は年1回の胸部・腹部・骨盤のCT、1年後とその後3-5年毎の下部消化管内視鏡である。サーベイランスの意味は術後再発の潜在的外科的治療可能性に因っている。被爆に対するリスクとベネフィットを比べないといけないが年1回のCTは妥当である。

②他の選択肢

 PETはCTに追加するのは有用だが、ルーチンでは用いない。

 ある種の癌特異的なサーベイランスはあるが、フォローしないのは不適切である。

 

POINT 術後は年1回のCTを撮りましょう

Desch CE, Benson AB III, Somerfield MR, et al; American Society of Clinical Oncology. Colorectal cancer surveillance: 2005 update of an American Society of Clinical Oncology practice guideline [erratum in J Clin Oncol. 2006;24(7):1221]. J Clin Oncol. 2005;23(33):8512-8519. PMID: 16260687

 

Q2

 25歳女性。妊娠12週でHIV陽性が判明した。症状なく、既往もない。内服はビタミン剤のみ。バイタル正常。リンパ節腫脹、口腔カンジダ、皮膚病変なし。Hb 11g/dl、HIVはウェスタンブロットで証明済み。CD4細胞865/μl、HIV-RNA 510 copies/ml。RPR、HBV陰性。HIV遺伝子変異なし。

 

問 適切なマネージメントは

A 出産後、抗レトロウィルス療法開始

B テノホビル+エントリシタビン+エファビレンツ

C ジドブジン+ラミブジン+ロピナビル-リトナビル

D CD4細胞が500/μlを切ったら治療開始

 

①妊婦のHIV

 適切な治療はジドブジン+ラミブジン+ロピナビル-リトナビルである。HIVに感染した妊婦の胎児は1/4がHIVに感染するが、治療すると2%以下に抑えることができる。この患者はCD4細胞やウィルス量、症状の有無に関わらず治療すべきである。

②他の選択肢

 2/3が産道感染、1/3が子宮内感染であり、出産やCD4細胞減少まで抗レトロウィルス療法を待つべきではない。

 エファビレンツ(ストックリン®)は催奇形性があり妊婦には禁忌である。

 

POINT 妊婦のHIVは即治療

Panel on Treatment of HIV-Infected Pregnant Women and Prevention of Perinatal Transmission. Recommendations for use of antiretroviral drugs in pregnant HIV-1-infected women for maternal health and interventions to reduce perinatal HIV transmission in the United States. September 14, 2011;1-207. Available at: www.aidsinfo.nih.gov/ContentFiles/PerinatalGL.pdf. Accessed December 20, 2011.
 

Q3

 32歳女性。繰り返す手の痒い皮疹で受診。歯科衛生士で休みの間は症状が改善する。外用ステロイドは有効だが、すぐぶり返す。手背、手指、手関節にかさかさした紅斑があり、指先は皮が剥けたり、びらんになったりしている。

 

問 次にすべき検査は

A パッチテスト

B KOH鏡検

C プリックテスト

D RAST検査

 

①接触性皮膚炎

 パッチテストは接触性アレルギーによる湿疹で用いる。アレルギー性接触性皮膚炎(ACD)はtypeⅣの遅延型アレルギーであり、抗原特異性のあるTリンパ球による過敏反応である。初回曝露への反応は数週かかるが、再曝露すると24-48時間で反応が出、より反応が強くなっていく。ACDはすごく痒く、浮腫、湿潤、集簇が見られ、水疱やブラも見られる。慢性的な曝露は慢性湿疹につながり、痒みがひどい。手は最も典型的な接触性皮膚炎の部位であり医療従事者に多い。病歴は抗原探る手掛かりとなる。ACDの診断にはパッチテストがゴールドスタンダードで、繰り返す難治性の皮膚炎では考慮する。患者の背中に標準化された化学物質を貼り、1週間に3回外来に来てもらう。抗原を避けるようにし、外用ステロイドで掻痒感、炎症を抑える。重症例では経口ステロイドを2-3週用いるが、長期では使わないようにする。

②他の選択肢

 KOHは皮膚擦過物を用いた真菌の検査である。真菌感染の場合、ややかさかさした円形病変で赤く、辺縁は拡がっていくが中心はスペアされる。

 プリックテストやRAST検査は即時型アレルギーの検出に用いるが、遅延型アレルギーには用いない。

 

POINT Ⅳ型アレルギーにはパッチテスト

Zug KA, Warshaw EM, Fowler JF Jr, et al. Patch-test results of the North American Contact Dermatitis Group 2005-2006. Dermatitis. 2009;20(3):149-160. PMID: 19470301