栃木県の総合内科医のブログ

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論文:RCT プライマリケアでのインスリン治療を受けていない2型糖尿病患者の自己血糖測定

プライマリケアでのインスリン治療を受けていない2型糖尿病患者の自己血糖測定
Glucose Self-Monitoring in Non–Insulin-Treated Patients With Type 2 Diabetes in Primary Care Settings

JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2017.1233 Published online June 10, 2017.

【背景】
 2型糖尿病患者のインスリン不使用者での自己血糖測定(SMBG)の価値は議論が分かれている
【目的】
 プライマリケアにおけるインスリン不使用の2型糖尿病患者に対して、3つのSMBG方法を比較し、HbA1c値・健康関連QOLを評価した。
【デザイン・セッティング・患者】
 ノースカロライナ州の15カ所のプライマリケア施設で行われたオープンラベルのランダム化比較試験。患者は、2014年1月から2015年7月までランダムに割り付けられた。組み入れ患者は、インスリン不使用の2型糖尿病患者で、30歳以上、プライマリケア医によって診療され、電子カルテ記録で最近6ヶ月のHbA1c>6.5%かつ<9.5%、同意が得られた患者が組み入れられた。1032人が適格性を評価され450人がランダム割り付けされた。
【介入】
 ①SMBGなし群、②1日1回のSMBG群、③1日1回のSMBG+測定器による自動音声フィードバック
【メインアウトカム】
 プライマリアウトカムは52週時点でのHbA1c値+健康関連QOL
【結果】
 ランダム割り付けされた450人のうち、最終受診まで完遂したのが418人(92.9%)だった。3群でHbA1c値に有意差は認めなかった。③ vs ①=-0.09%(-0.31 to 0.14%)、② vs ①=-0.05%(-0.27 to 0.17%)。また、健康関連QOLも両群で有意差なし。低血糖頻度、医療機関受診、インスリン開始などの有害事象も差が無かった。

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(本文より引用)
【結論】
 インスリン治療を受けていない2型糖尿病患者では、SMBGを使用するのとしないのを比較して1年後の血糖コントロール、健康関連QOLに臨床的および統計的有意差を認めなかった。
 測定器による自動音声フィードバックも血糖コントロールについて新たなメリットは認めなかった。
【批判的吟味】
いつも通り論文のPICOから
P:インスリン治療を受けていない2型糖尿病患者
I:SMBG施行群、SMBG+音声フィードバック群
C:SMBGなし群
O:52週後の血糖コントロール、健康関連QOLスコア
T:ランダム化比較試験
・一応、機序の仮説としては、血糖を確認できることで食事・運動などの生活習慣の改善が促されるのでは?と考えられています。
・興味深いのは、SMBG群は半年〜9ヶ月くらいまではHbA1cが有意に下がっているということ。これは1年もすると飽きちゃうということでしょうか?

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(本文より引用)

・過去のエビデンスだとSMBGは新規発症DMや血糖コントロール不良DMでは効果があるようです。
・ランダム割り付けされたのは、1906人のうち450人なので代表制の問題があるかもしれません。
【個人的な意見】
 実は、後期研修医になって初めてEBMの手法を用いて勉強会をやったテーマがこのSMBGは血糖コントロールを改善するか?というテーマでした。長い年月を経て、結局よく分からないという感じですね。過去のエビデンスをみると、効果のあったという報告となかったという報告が入り交じっている模様です。
 何にせよ、SMBGをインスリンを使用していない患者さんに積極的に導入する必要は無いと言えるでしょう。まあ、希望があれが要相談。昔、SMBG測定から指の壊疽に陥った症例報告を見たことがありました・・・

✓ インスリン治療を受けていない2型糖尿病患者に対するSMBGは血糖コントロール改善に繋がらない