栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:RCT 急性期脳卒中における頭位

急性期脳卒中における頭位
Cluster-Randomized, Crossover Trial of Head Positioning in Acute Stroke

N Engl J Med 2017;376:2437-47.

【背景】
 急性期脳卒中後の体勢については、仰臥位をとることで脳血流を改善する役割があるとされているが、一方で誤嚥性肺炎のリスクがあるため臨床現場ではさまざまな頭位がとられているのが現状である。脳卒中治療中に脳への血流を増やすため患者を完全な仰臥位(背部は水平、顔は上向き)にすることで、急性期脳梗塞患者の転帰が改善しうるかどうかを検討した。
【方法】
 9ヵ国で行われたクラスターランダム化クロスオーバー試験で、急性期脳卒中患者11093人(85%は脳梗塞)を、臥位治療群と、頭部を 30°以上挙上して座位で治療を行う群に、入院した病院に割り振られたランダム割り付け順に従って割り付けた。指定された体勢は入院直後に開始し24 時間維持した。
 プライマリアウトカムは 90日時点での神経障害の程度とし、modified Rankin スケール(スコア 0-6 で高いほど障害が大きく6 は死亡を示す)を用いて評価した。
【結果】
 脳卒中の発症から割り付けられた体勢開始までの時間の中央値は14時間だった。仰臥位群の患者は、座位群の患者よりも体勢を24時間維持できる確率が有意に低かった(87% vs 95%,P<0.001)。
 仰臥位群の患者と座位群の患者とでは、90日時点のmodified Rankin スケール全体での障害転帰の分布に有意な変化は認められなかった(仰臥位群におけるmodified Rankin スケールスコア OR 1.01:0.92-1.10)。
 90日以内の死亡率は、仰臥位群の患者で 7.3%,座位群の患者で 7.4%で有意差なし。肺炎などの重篤な有害事象の発現率も両群間で有意差は認めなかった。

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(本文より引用)
【結論】
 急性期脳卒中後、24時間仰臥位をとる群に割り付けられた患者と24時間頭部を 30°以上挙上して座位をとる群に割り付けられた患者とでは、障害転帰に有意差は認められなかった。

【批判的吟味】
・まずは論文のPICOから
P:急性期脳卒中患者
I:仰臥位24時間群
C:頭部挙上30度群
O:90日後のmodified Rankinスケール
T:ランダム化比較試験/施設毎/クラスタRCT/クロスオーバー
・平均68歳、女性40%程度です。多国籍で米国は含まれていませんが、中国・台湾のアジアが42%入っています。
・NIHSS平均4点なので結構軽症例。発症から介入までが平均14時間で平均入院期間7日です。
・退院時の診断は85%が脳梗塞で、アテロームが30%、Small vesselが30%、心原性塞栓が13%でした。脳出血は8%程度。
・サンプルサイズは元の計画には届かなかったようです。
もっと早く開始したらペナンブラへの効果があるのでは?と。
・肺炎頻度が低いから、これをもって肺炎は増えないとは言えないかも。このあたりはRCTバイアスかもしれませんね。
【個人的な意見】
 この辺りをエビデンス出すのって大変だなあと思いました。こうゆうのってネガティブな結果でもじゃあ、どちらでも良いよねって言えるから重要な研究だなと思っています。個人的にはsmall vesselなどでは安静いるのかなあ?と懐疑的なので今度は病型毎に積極的に動く群との比較もお願いしたいデス。

✓ 急性期脳卒中の体位は仰臥位でも30度頭部挙上でも変わらず