栃木県の総合内科医のブログ

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症例:BMJ 失語の原因は?

case reportです。
届いてないなあ、そのネーミング笑

症例:93歳男性 失語症

BMJ 2017;357:j2792 doi: 10.1136/bmj.j2792 (Published 2017 June 29)

 93歳の男性で扁平上皮癌の破壊性頭蓋骨転移のある方が、突然発症の失語で来院された。神経学的には他に異常所見なし。失語評価のため頭部CTが施行された。この頭部CTの所見は?
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(本文より引用)

質問. 失語の原因は

 

回答:
診断:気脳症

 

解説:

 本患者は頭蓋骨腫瘍による骨欠損に由来する気脳症を来していた。Fig.1で示すような前頭葉の圧排、半球間隙は日本の火山のシルエットに似ていることから、”Mount Fuli”signと呼ばれている。Michel SJ. The Mount Fuji sign. Radiology 2004;357:449-50. doi:10.1148/radiol. 2322021556 pmid:15286317.

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 頭部CTでは頭頂部付近のスライスで、後頭部の頭頂部全域に広範な骨壊死を伴う頭皮欠損を認めた。気脳症は、頭蓋内の空気もしくは気体の存在で、一般的には頭部外傷または外科手術に関連しており、頭蓋骨破壊に関連する。また、感染や腫瘍による骨浸食に続発して起こることもあり、頭蓋内圧亢進による神経学的症状を引き起こす可能性がある。CTは診断的に重要で、空気は一般的に前頭葉の前部に見えることが多い。CTでは骨折やびらんなどの骨の異常を診断する点では最も正確である。

 基本的なマネージメントは患者の基礎疾患によって異なる。Fowler位による頭部挙上や酸素投与、咳やくしゃみの回避などの空気の再吸収を促進するような保存的両方で十分なこともある。一方で、神経症状や頭蓋内圧亢進症状がある場合には、減圧を伴う脳外科的治療が必要になることもある。

 本患者では複数の合併症があることを考慮して緩和的対応がなされ、2週間後にホスピスで亡くなられた。

Learning Points:

①失語は気脳症で起こり得る。気脳症の症状として、頭痛、嘔気・嘔吐、めまい、痙攣がある
②頭蓋骨などの扁平上皮癌の頭皮への浸潤を評価するのは難しい。CTは骨評価に有用で手術計画にも影響する