栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:半構造化インタビュー がん検診の中止における高齢者の視点とコミュニケーションの好み

がん検診の中止における高齢者の視点とコミュニケーションの好みOlder Adults’ Views and Communication Preferences About Cancer Screening Cessation

JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2017.1778 Published online June 12, 2017.

【背景】
 平均余命が限られている高齢者では、スクリーニングによる害が増え、利益が少なくなるにもかかわらず、がんスクリーニングが継続して行われることが多い。スクリーニングを継続するかどうかは、患者の嗜好が重要な決定要因である。
【目的】
 平均余命が限られている場合に、がんスクリーニングを止める決定において高齢者の意見を調査し、臨床医ががんスクリーニングのためのお勧めをどのように伝えるべきかどうかについて、高齢者の好みを特定することを目的とした。
【デザイン・セッティング・患者】
 半構造化インタビューを用いて、都心部の教育的医療センターに所属する4つの臨床プログラムで募集した40人の65歳以上の高齢地域住民にインタビューした。
【メインアウトカム】
 音声で記録された議論を文字起こしし、定性的な内容分析の標準テクニックを用いて内容を分析し、主要なテーマとサブテーマを特定した。
【結果】
 参加者の平均年齢は75.7歳。女性は23名(57.5%)で、25人(62.5%)は白人、推定寿命は10年未満だったのは19人(47.5%)だった。
 3つの重要なテーマが特定された。
①参加者は臨床医との信頼関係を通してがんスクリーニングを止めることができた。
②多くの参加者は、スクリーニングを個別化するために年齢や健康状態を用いることには賛同したが、平均余命の果たす役割を意識していなかった。2人を除いてほとんどの患者が、余命が限られている人へがんスクリーニングを推奨しない取り組みであるChoosing wiselyに反対であり、医師は正確に余命を予測できないと考えていた。
③参加者は、臨床医が個々の健康状態に合わせてスクリーニングを中止する推奨を説明することを希望したが、平均余命に言及するかは意見が分かれた。平均余命に関する特異的な用語は重要である。多くの参加者は「この検査の恩恵を受けるほど長生きできません」というメッセージよりも「この検査はあなたが長生きするのに役立たない」というポジティブなメッセージの方を好んだ。
【結論】
 過去の研究や診療ガイドラインでは、生命予後を用いてがん検診のスクリーニング中止を説明するようにとされているが、高齢者はスクリーニングと平均余命について十分考慮しておらず、スクリーニングについて議論する場合には、平均余命の話は好まれないかもしれない。
 コミュニケーションの嗜好を記述しておくと、将来のスクリーニングの議論に役立つ。患者中心のアプローチを明確にすることは、高齢者のがんスクリーニングの最適化のための重要なステップである

【批判的吟味】
・今回の論文はPECOで評価は難しい。
・半構造化インタビューによる質的研究
・平均年齢 75.7歳、女性 57.5%、健康の自己評価はvery good 35%、Good  50.0%
・平均余命10年を越えるとされたのが52.5%
・高齢者ががん検診を止めた理由は以下。高齢、健康・QOLが低い、その後の治療を受けたくない、スクリーニング検査の負担、医師の推奨

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(本文より引用)
【個人的な意見】
 この辺りはずっと前から興味があります。がん検診を中止するというのはある意味では、大きな変換点です。上記5つの理由なども考慮しながら、過剰な検診を避けるように、信頼関係を築きつつ、ポジティブで適切なアドバイスができるようになりたいです

✓ 高齢者のがん検診中止には、医師との信頼関係、平均余命という言葉への不信、ポジティブなメッセージなどが関わっている