栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Prognosis 新規発症関節リウマチ患者は虚血性・非虚血性心不全のリスクが高まる

ACPJC紹介です。
これは交絡ありそうだけどなあ。
いつものSwedenの大規模コホート

f:id:tyabu7973:20170722161718j:plain

Association between rheumatoid arthritis and risk of ischemic and non- ischemic heart failure. 

Mantel A, Holmqvist M, Andersson DC, Lund LH, Askling J. 

J Am Coll Cardiol. 2017;69:1275-85.

臨床疑問:
 新規に関節リウマチと診断された患者では、虚血性および非虚血性心不全のリスクが高まるか?

方法:
・デザイン:平均5年以上フォローアップされた観察研究
・セッティング:スウェーデン
・患者:Swedish Reumatology Quality Registerに新規に登録された、18歳以上の新規発症関節リウマチ患者12943人が対象。コントロール群は一般人口から年齢・性別・居住地をマッチさせた11万3884人。フォローアップ開始前に心不全と診断されている患者は除外した。
・予後因子:新規発症関節リウマチ、性別、年齢、居住地
・アウトカム:入院患者および外来患者において新規に診断された心不全。分類は虚血性および非虚血性。

結果:
 メインの結果は以下。新規発症関節リウマチ患者のうち332人(2.6%)がフォローアップ中に心不全を発症した。

f:id:tyabu7973:20170722161736j:plain

(本文より引用)

結論:
 スウェーデンの成人で新規発症リウマチ患者では心不全リスクが高まる。

 なんだか事実を突きつけられても、「で、どうして??」って思いますよね。納得できる機序が必要なのは病態生理病なんでしょうか・・・
 そもそも関節リウマチの早期死亡の主要な要因として心血管疾患は重要と言われている模様です。虚血性はもちろん非虚血性心不全もそういった理由から関連が危惧されています。病態生理的にはTNFαとの関連が言われていて、これらサイトカインによって媒介される炎症誘発性心筋傷害が起こり得るのだそうです。
 結局考察では、心不全を予防するためにRAを早期に診断・治療してサイトカイン抑制をすると良いのでは?という流れになっているようですが、このあたりはまだまだ未検証の領域です。ステロイドの役割も難しい所で高用量だと動脈硬化と関連するかもしれないけれど、抗炎症作用もあるし・・・という状況ですね。
 TNFα阻害薬は心不全では避けるべきとされていますが、MTXとの併用では良いかもしれないというデータもあるのだとか。まあ、まだまだ検証が必要ですね。