栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:治療 変形性膝関節症患者では関節内ステロイド注射は鎮痛効果がない

ACPJC紹介です。

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Effect of intra-articular triamcinolone vs saline on knee cartilage volume and pain in patients with knee osteoarthritis: a randomized clinical trial. 

McAlindon TE, LaValley MP, Harvey WF, et al. 

JAMA. 2017;317:1967-75.

臨床疑問:
 変形性膝関節症患者では、関節内トリアムシノロン注射が軟骨損傷の進行や膝痛に対して効果があるか?

方法:
デザイン:ランダム化比較試験
隠蔽化:隠蔽化されている
盲検化:二重盲検(患者、研究関係者)
フォローアップ期間:2年間
セッティング:米国マサチューセッツ州ボストンのTufts医療センター
患者:140人の45歳以上の変形性膝関節症(ACR基準)で、疼痛スコアが2-8点の患者、画像重症度ではKellgren–Lawrence grade 2 or 3

https://www.researchgate.net/profile/Diana_Sanchez-Ramirez/publication/268447391/figure/fig3/AS:400516266905600@1472501927022/Fig-23-Kellgren-Lawrence-Grading-Scale-Source-Kellgren-and-Lawrence-Ann-Rheum-Dis.ppm


https://www.researchgate.net/profile/Diana_Sanchez-Ramirez/publication/268447391/figure/fig3/AS:400516266905600@1472501927022/Fig-23-Kellgren-Lawrence-Grading-Scale-Source-Kellgren-and-Lawrence-Ann-Rheum-Dis.ppmより引用)
、超音波確認の滑液包液体貯溜が2mm以上、疼痛評価前48時間時点で鎮痛薬を中止するという方針に同意した患者が対象となった。
 除外基準は、他疾患罹患、コルチコステロイド・ドキシサイクリン・インドメタシン・グルコサミン・コンドロイチン使用、関節内ステロイド・ヒアレイン酸注射、重症な合併症、MRI禁忌。
介入:1mlトリアムシノロン 40mg関節内注射群(n=70) vs 1ml生食関節内注射群(n=70)を12週毎2年間注射
アウトカム:プライマリアウトカムは、年1回撮影する膝MRIによる軟骨量、3か月毎に評価する疼痛(0-20点)とした。疼痛スコアで臨床的に有意な改善点は3.94点とした。
患者フォローアップ:95%、ITT解析

結果:
 軟骨量はトリアムシノロン群の方が有意に低下。
 疼痛スコアは有意差を認めなかった

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(本文より引用)

結論:
 変形性膝関節症患者では、関節内トリアムシノロン注射は生理食塩水注射と比較して、軟骨量を減らし、疼痛は有意差を認めなかった。

 以下、紹介終わり。

 いわゆるケナコルトⓇ関節内注射ですね。変形性膝関節症には残念ながら効かないというところでしょうか。個人的にも基本はステロイドを関節内にうつ状況は非常に限られた状況であると教わりました。今回の結果では更に軟骨量は更に有意に低下するという結果ですね。今回は3か月毎2年間という治療期間ではありますが、実際の臨床では必要時のみ使用されてることがあるという辺りではないでしょうか?

 ちなみに過去の研究からも関節内ステロイド注射は有害事象に関係するかもしれないという報告もあります。ただ、過去の研究はレントゲンで評価されていたので、今回はMRIで評価したよ〜というのが新規の情報でしょうか。

 この論文は早速Uptodateでも採用されています。また、この領域の膝関節内ステロイド単回注射の効果は、注射後6週間後までは有意に疼痛を軽減することがCochraneで報告されています。

www.ncbi.nlm.nih.gov