栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文:Retrocohort 米国の大規模病院における医療ミス後の説明と謝罪プログラムの効果

米国大規模病院における医療ミス後の説明と謝罪プログラムの効果
Outcomes In Two Massachusetts Hospital Systems Give Reason For Optimism About Communication-And-Resolution Programs

Health Aff (Millwood). 2017 Oct 1;36(10):1795-1803.

【背景】
 医療訴訟が増えている昨今、米国の多くの病院では「Communication-And-Resolution」というプログラムを導入している。このプログラムでは、有害事象が発生したときに、

・すぐに病院が患者に連絡を取り、
・何が起こったかを調査・説明し、
・適切なタイミングで謝罪し、
・標準的な経過とならず重篤な害につながった場合に、補償を提供する

ものである。
【方法】
 マサチューセッツの教育医療センター2カ所と地域病院4カ所において、2013-2015年の間に「Communication-And-Resolution」プログラムが適応された989事例を解析した。
 ほとんどの事例 929/989(88.9%)が、病院スタッフによって報告され、60/989(6.1%)が患者側からの訴えによってこのプログラムが適応された。
【アウトカム】訴訟に至った事例の割合
【結果】
 今回プログラムが適応された事例において、訴訟に至った事例は全体の5.1%(47/929例)と非常に少なかった。また、全ての事例中、訴訟にならずに病院が提供した補償の範囲内で解決された問題は、4.0%(40件)とさらに少なく、かかった費用は平均75000$だった。
【結論】
 「Communication-And-Resolution」プログラムを適応すると訴訟頻度が少なくなる可能性がある
【批判的吟味】
・今回の検証では比較対照がありません。
・本当に低いかどうかは何とも言えません。
・最初の患者・家族との話し合いの内容は81.8%(760/929例)で記録されており、調査結果の報告も60.7%(573/944例)で記録されていました。
・このデータからは、正直に話したうち訴訟に至るのは5.1%と少ないので、安心して報告しましょうという方向性をもたらすかもしれないとされています。
・多くの場合、何故有害事象が起こったのかを説明することが、患者や家族の怒りを和らげるのではないか?と考察されています。
【個人的な意見】
 プロフェッショナリズムからも重要なポイントです。訴訟社会アメリカにおいてもこの結果ですから。日本でももちろん十分適応可能でしょう。そして重要なのは院内でその様な対応部門が存在し、トカゲのしっぽ切りにならないような仕組み作り、文化作りが必要になります。
 上司としてのあり方も改めて問われるなと感じています。

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