栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

今週のカンファ:椎体炎の治療期間/SSAP/椎骨脳底動脈循環不全

カンファまとめです
とりあえずあるあるを。

椎体炎の治療期間 EDuration of treatment for vertebral osteomyelitis

 ひとまず、今の医療機関に来てからというもの化膿性椎体炎がものすごく多い印象です。まあ、もちろん治療期間が長期化するので、ずっと話題になり続けるという意味合いもあるンでしょうけどね。で、毎回治療期間の話題は出てますので、改めてまとめておきますです。
 
以下主にUptodateから

 ・大原則として最低6週間が治療期間(Lancet. 2015;385(9971):875. Epub 2014 Nov 5. )
 ・MRSAの場合には8週間必要かも(Clin Infect Dis. 2016 May;62(10):1262-9. Epub 2016 Feb 24. )
 ・広範な骨破壊を伴う症例では、12週間が必要になることもあり個別性を重視
 ・上記Lancetの研究では、6週 vs 12週で治療効果に有意差なし。
 ・上記CIDの研究では、8週未満の治療で再発リスクが高かったのが、
  MRSA感染  OR 2.61(1.16-5.87)
  ドレナージできていない膿瘍残存  OR 4.09(1.89-9.19)
  末期腎不全  OR 6.58(1.63-26.54)
 となっています。
 ・ほとんどの患者が点滴治療が必要
 ・2週間点滴後の経口治療へのswitch移行には以下の条件を考慮(BMC Infect Dis. 2014;14:226. Epub 2014 4 27. 
  特に重大な合併症なし
  点滴治療への臨床反応が良好
  病原体に対する感受性が判明し、適切な抗菌薬が利用可能
  経口摂取の遵守率が十分期待できる

 ・CRP/赤沈を含む炎症マーカーは毎週確認。
 ・最初の1ヶ月で有意に低下しなかった場合には治療失敗が多い
 ・画像のルーチンフォローは不要。開始数周後はむしろ悪化するように見えることも
 ・膿瘍評価および中止を検討している時点で改善していない場合はフォロー

 まあ、この辺りはIDSAガイドラインに載っておりますので、是非是非ごらんあれ。  

www.ncbi.nlm.nih.gov

 ✓ 化膿性椎体炎の治療期間についてのウンチクを語るべし
 

SSAP Sessile serrated adenoma/polyp

 確か以前もカンファネタとして取り上げたことがある気もしますが・・・大腸内視鏡検査を施行する医師も、結果だけ確認する医師も、そのポリープが持つ発がんポテンシャルを押さえておく必要があります。

 例えば、最も知られている前がん病変はadenoma(腺腫)で、これはadenoma-carcinoma sequenceを経て癌に伸展します。腺腫と同様に癌化しやすい病変として注目されているのが、traditional serrated adenoma(TSA)やsessile serrated adenoma/polyp(SSAP)になります。これらの担癌率は10%程度で比較的癌化しやすいポリープです。

 ここで理解しておくべきは大腸癌の発がん経路です。前述のadenoma-carcinoma sequence以外に、De novo発症の悪性腫瘍として正常粘膜から突如微小癌が出てくる場合があります。そして、今回取りあげるSSAPが関与するSerrated pathwayがあり、これは、正常粘膜から鋸歯状病変を経て癌化することが分かっています。

 大腸ポリープの生検結果にserrated(鋸歯状)が含まれていたら要注意というのがtake home messageでしょうか。鋸歯状病変は上記のTSA・SSAP以外に過形成性ポリープにも含まれています。
 

✓ serrated(鋸歯状)病変があった場合は癌化リスク↑

 

椎骨脳底動脈循環不全 Vertebeobasilar insufficiency

 めまい症例ではここはしばしば話題になりますね。ただ、この椎骨脳底動脈循環不全(VBI)は、専門家によって定義がばらばらなの注意が必要です。

 椎骨・脳底動脈を含む後方循環系は脳血流全体の20%を占めており、症状として脳幹や小脳症状がメインとなるため、いわゆる麻痺などの錐体路症状が出にくく、診断がチャレンジングであるとされています。

 今回取り上げる椎骨脳底動脈循環不全とは、結果的にはその多くが椎骨脳底動脈領域の低灌流によるTIA症状を指していると考えることができます。より具体的な例では頸部回旋による椎骨動脈の機械的圧迫も原因とされているので、以前も取り上げたBow hunter's syndromeやPower syndromeなどが考えられます。もちろん、機序として、アテローム機序が多いですが、大血管炎などによる血管への炎症波及が原因となる事もありますね。

 症状はなんと言ってもめまいが多いです。めまいについてのポイントとしては多くが15分以内とされており、VBI全体の85%が60分以内に症状が治まっています。1回の発作は短時間ですが、反復も多く報告されており、また頭位変換もトリガーになるようです。めまいに加えて、複視や霧視などの視覚症状や感覚障害や脳神経異常などの脳幹症状、前庭系の血流障害に伴う蝸牛症状も出うるんだそうです。この辺は末梢性めまいとの鑑別で難渋しそうです。

  ✓ 椎骨脳底動脈循環不全によるめまいを診断できるように

 

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