栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:治療 軽症から中等症の成人急性膵炎入院患者では、早期栄養摂取が入院期間を減らすかもしれない

ACPJC紹介です。
膵炎について。こうなってくると禁食っているの?って話になってきますね。

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Early versus delayed feeding in patients with acute pancreatitis: a systematic review. 

Vaughn VM, Shuster D, Rogers MAM, et al. 

Ann Intern Med. 2017;166:883-92.

臨床疑問:
 成人の膵炎入院患者では、早期に栄養摂取をする場合と遅れて栄養摂取をする場合では、入院期間・死亡率・再入院率への影響はどうか?

レビュー範囲:
 早期に栄養摂取をする場合(入院後48時間以内)と遅れて栄養摂取をする場合(入院後48時間を超えて)を比較した腸管栄養の研究で、成人の軽症・中等症・重症膵炎患者が対象。
 除外基準は、経腸および非経腸栄養を比較した研究、食事内容を比較した研究など。
 プライマリアウトカムは、入院期間・死亡率・病院再入院・有害事象

レビュー方法:
検索対象:MEDLINE、EMBASE/Excerpta Medica、Cochrane Library、CINAHL、Web of Scienceを2017年1月まで検索。ClinicalTrials.govは2016年12月まで、更にリファレンスリストを検索し、Full text・アブストラクト・ポスターでランダム化比較試験を検索した。
検索結果:11個のランダム化比較試験(8つはpeer reviewされたFull text論文、3つはabstact)、n=970人が組み入れ基準を満たした。
 軽症から中等症の患者(7 RCT、n=481人)、重症患者(4 RCT、n=489人)。
 入院期間は客観的アウトカムであり、バイアスリスクは低いと判定された。
 異質性は、食事プロトコールやアウトカム測定。

結果:
 結果は以下。
 軽症から中等症の急性膵炎患者では死亡患者はいなかった。早期栄養摂取を開始する群で、耐えられない・嘔気・嘔吐・腹痛などは増えなかった
 重症急性膵炎では、壊死性膵炎の頻度は変わらなかった。

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(本文より引用)

結論:
 軽症から中等症患者の成人急性膵炎では、早期に栄養摂取を開始することが入院患者の入院期間を減らすかもしれない。

 以下、紹介終わり。さてさて皆さんはどんな管理をしているのでしょうか?特に軽症膵炎患者をしばしば診療している皆様。

 少なくとも中心静脈栄養については費用もかかり合併症も多いため推奨されていません。もう一つのポイントは経管なのか経口なのかです。これも重症度や患者固有の因子によって異なります。どちらにしても低脂肪食が試されているのは間違いない模様です。

 この部分はまだまだ、好ましい経路・食事種類・では実際にいつから始めるか?と言った部分は未確定領域の問題ですね。有害事象なさそうなので食べられそうなら食べてみたら?というスタンスはありかもしれません。

 まあ、そもそも軽症膵炎で禁食不要だったら入院しなくても良くないですか?という疑問も湧いてきますねえ。実際補液のみで治る膵炎はかなり多いですし・・・この辺りは今後の検討課題です。少なくともPubmedではacute pancreatitisとoutpatientでは引っかかる文献はありませんでした。