栃木県の総合内科医のブログ

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論文:Procohort 妊娠糖尿病歴と長期の心血管疾患リスク ー米国女性の大規模前向き観察研究ー

長期の心血管疾患リスク ー米国女性の大規模前向き観察研究
Association of History of Gestational Diabetes With Long-term Cardiovascular Disease Risk in a Large Prospective Cohort of US Women

JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2017.2790 Published online October 16, 2017.

【背景】
 過去の研究では、妊娠糖尿病は心血管疾患の中等度リスクと言われているが、前向き観察研究や心血管アウトカムを評価した研究や通常リスクのBMIや生活習慣を評価した研究は少ない。
 過去の複数の研究では後ろ向きの観察が多いが、出産10年以内に妊娠糖尿病患者の半数が2型糖尿病に進行するという衝撃のデータもあり、今後どのようにフォローアップするかが重要になる。
【目的】
 妊娠糖尿病既往と心血管疾患リスクの関係を前向きに評価する
【デザイン・セッティング・患者】
 Nurses' Health StudyⅡ(NHSⅡ)は、米国女性看護師のコホートで1989年から前向き調査によるフォローアップが行われている。2年に一度の頻度で、生活習慣・健康アウトカム・生活習慣因子情報が更新されている。Cox多変量解析モデルでHazard比と95%信頼区間が算出された。
 今回は8万9479人の女性で少なくとも1回以上の妊娠歴が有り、ベースラインで心血管疾患と癌がない方が組み入れられた。フォローアップは2015年5月31日まで行われ、組み入れ患者の90%を追跡した。
【曝露】
 自己申告の妊娠糖尿病歴(2年毎の更新)
【メインアウトカム】
 1161件の自己申告の非致死的・致死的心筋梗塞・脳卒中を評価し、カルテ上で確認した。
【結果】
 平均年齢34.9歳で、年齢・妊娠前BMI・他因子を調整すると、妊娠糖尿病がある場合は、無い場合と比較して心血管リスクがHR 1.43(1.12-1.81)と増加していた。妊娠後の体重増加や生活習慣因子の更新を調整しても、HR 1.29(1.01-1.65)とリスクになった。
 2型糖尿病に進行した妊娠糖尿病として分類すると、HR 4.02(1.94-8.31)となり、妊娠糖尿病のみだとHR 1.30(0.99-1.71)だった。
【結論】
 妊娠糖尿病は人生の経過の中で心血管リスクと関連したが、若年や白人女性ではリスクの絶対値は低かった。この関係性は、その後の体重増加や生活習慣の変化とも関連した。

【批判的吟味】
 アジア系は1%前後。日本人に当てはめられるかは微妙なところです。
 興味深いのはGDM onlyだと大丈夫そうということですね。やはりDMを発症したGDMがリスクになるわけですね。
 更には心筋梗塞との関連性の方が脳卒中よりは強そうです。
 自己申告によるGDM診断も限界としては考えられますね。
【個人的な意見】
 GDM診療に携わるものとして興味深く読みました。あとはこの群に対する介入効果が本当にあるのか?リスクになるのは分かりましたが、妊娠中にインスリンを打って血糖コントロールすることのアウトカムへの影響あたりのデータを知りたいところです。

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✓ 妊娠糖尿病は長期の心血管リスクになる