栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:治療 単純性蜂窩織炎の治療としてセファレキシンにST合剤を追加しても治癒率は改善せず

ACPJC紹介なり。
諸外国ではCA-MRSAも多くなっている様なので更に悩ましい所ですね。

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Effect of cephalexin plus trimethoprim–sulfamethoxazole vs cephalexin alone on clinical cure of uncomplicated cellulitis: a randomized clinical trial. 

Moran GJ, Krishnadasan A, Mower WR, et al. 

JAMA. 2017;317:2088-96.

臨床疑問:
 単純性蜂窩織炎患者では、セファレキシンにST合剤を追加することで、臨床的治癒が増えるか?

方法:
デザイン:ランダム化プラセボ比較試験。
隠蔽化:あり
盲検化:盲検化(患者・医療者・データ収集者・アウトカム評価者・統計学者)
フォローアップ期間:49-63日
セッティング:米国5カ所の救急外来
患者:500人の成人もしくは12歳以上の小児(平均40歳、58%男性)で、直径2.0cm以上、経過1週間以内の単純性蜂窩織炎(膿瘍なしで発赤、膿性浸出液、創部が感染巣と考えられる場合)の患者を組み入れた。膿瘍なしは超音波(POCUS)で確認
 除外基準は、免疫抑制状態、他部位の感染、罹患部位の基礎皮膚疾患、違法薬物静注。
介入:
セファレキシン500mg×4回/日投与+ST合剤 80mg/400mg×2回/日(n=249人) vs セファレキシン+プラセボ(n=251人)を7日間
アウトカム:14-21日時点の臨床的治癒
・3-4日時点の発熱、発赤範囲の25%以上増大、腫脹・疼痛の悪化がない
・8-10日時点の発熱、発赤範囲の増大、腫脹・疼痛の悪化がない
・14-21日時点の発熱、発作期最大径の25%以上増大、腫脹・疼痛の悪化がない
セカンダリアウトカムは、複合的な臨床的治癒(全ての感染症状の改善、抗菌薬や外科的治療の追加必要性)、入院率、外科的手技、健康に生活できる日数の損失。
患者フォロー率:82%、per protcol解析

結果:
 臨床的治癒、複合的な臨床的治癒、14-21日の入院率は有意差を認めなかった
 14-21日時点での外科的手技は11.9% vs 8.8%、49-63日の外科的手技は15% vs 10%と有意に少なかった。

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(本文より引用)

結論:
 単純性蜂窩織炎患者では、セファレキシンにST合剤を追加することで、臨床的治癒に変化はなかった。

 以下、紹介終わり。ひとまずnegative studyですね。セファレキシンはケフレックスⓇです。みなさん、是非使いましょう(COIなし笑)

 ちなみにこの分野にもPOCUS(ポイントオブケアの超音波)は応用されている模様で、膿瘍の有無を評価することの重要性を示しています。ひとまず膿瘍がない症例で応用していきましょうということですね

 ちなみに蜂窩織炎に対して、IDSAはセファレキシンを推奨している模様ですね。通常、病原微生物はレンサ球菌で、MRSAは稀とされています。ST合剤の追加は、その数少ないMRSAをカバーするためのものですが、そこまでの必要性はないという判断ですね。更には7日でなくて5日でも良いというのがIDSAの推奨で有り、更に抗菌薬stewardshipの一部になりそうです。