栃木県の総合内科医のブログ

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論文:Prospective cohort 甲状腺機能と心血管疾患の有無による余命との関係

甲状腺機能と心血管疾患の有無による余命との関係
Association of Thyroid Function With Life Expectancy With and Without Cardiovascular Disease The Rotterdam Study

JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2017.4836 Published online September 18, 2017.

【背景】
 甲状腺機能が正常範囲内での変化は、心血管疾患および死亡リスクの増加と関連している。しかし、甲状腺機能が余命(Life Expectancy:LE)や心血管疾患の有無を持って生きた年数との関連は明らかにはなっていない
【目的】
 甲状腺機能と余命、心血管疾患の有無を伴う余命を甲状腺機能正常者で調査した
【デザイン・セッティング・患者】
 Rotterdam研究は人口ベースの前向き観察研究。甲状腺疾患に罹患していない患者を組み入れ、TSHとfT4値が正常範囲内にある患者を対象とした。
【メインアウトカム】
 多段階生命表を用いて、合計余命と心血管疾患の有無による余命を算出した。50歳以上の男性および女性の平均余命予測は、社会疫学的情報と心血管リスク因子で調節し、有病率、発症率、ハザード比を用いて、①健康から心血管疾患、②健康から死亡、③心血管死亡から死亡の3つに分類した。
【結果】
 7785人の平均年齢は64.7歳、女性 52.5%だった。追跡期間の中央値は8.1年で、789人の心血管疾患と1357人の死亡が観察された。
 TSHを3分割して最も高い群は最も低い群と比較して、男性で平均2.0年(1.0-2.8)、女性出平均1.4年(0.2-2.4)長く生き、心血管疾患がないと男性で1.5年(0.2-2.6)、女性で0.9年(-0.2-2.0)長生きだった。
 fT4値を3分割して最も高い群は、最も低い群と比較して、男性で平均-3.2年(-5.0-1.4)、女性出平均-3.5年(-5.6-1.5)長く生き、心血管疾患がないと男性で-3.1年(-4.9 to -1.4)、女性で-2.5年(-4.4 to -0.7)長生きだった。
【結論】
 50歳時点で、甲状腺機能が正常下限の群は正常上限の群よりも全体で3.5年、心血管疾患がない群で3.1年長生きだった。これらの知見は甲状腺機能の正常値の再評価に対するエビデンスを提供し、予防的ケアについての役立つ情報となり得る。

【批判的吟味】
・非常に興味深いデータです。これを見ると、甲状腺機能は低めの方が良いのだろうなと思うわけです。省エネが良いのでしょうか?
・そもそも甲状腺機能の正常値は健康集団の2.5パーセンタイルを異常として設定されています
・今回の研究は45歳以上の白人であり、このデータを適応する対象は良く検討するべきです。
・今回fT3は測定対象にはなっていません
【個人的な意見】
 こういった、常識を覆すデータって興味深いですね。でも、なんだか潜在性機能低下症あたりは治療対象にしない方が良さそうだなあとかざっくりと思ってしまいますね。

福禄寿のイラスト(七福神)