栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

ACPJC:Etiology 成人ではベンゾジアゼピン系薬剤使用は6か月死亡とは関連しないが12/48か月死亡とは関連する

ACPJC紹介。
成人全体のデータでもこんな感じなんですねえ。

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Benzodiazepines and risk of all cause mortality in adults: cohort study. 

Patorno E, Glynn RJ, Levin R, Lee MP, Huybrechts KF. 

BMJ. 2017;358:j2941.

臨床疑問:
 成人では、ベンゾジアゼピン系薬剤を開始することが全死亡と関連するか?

方法:
デザイン:Oputum Cliformatics Datamartの保険データベベースを用いた後ろ向き観察研究
セッティング:米国
患者:193万159人の18歳以上のベンゾジアゼピン系薬剤を処方されている患者。ベンゾジアゼピン系薬剤とは、アルパゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、オキサゼパム、クアゼパム、トリアゾラム、テマゼパム。ベンゾジアゼピン処方は2004年7月から2013年12月までの上記コホート内から抽出された。

組み入れ基準:
・保険に6ヶ月以上加入
・過去6か月以内にBZP薬剤使用なし
・90日以内に1種類以上の内服薬が処方されている。
プロペンシティスコアを用いて、125万2988人(平均46歳、女性65%)が、BZP使用コホートと非使用コホートを、1:1でマッチしITT解析がなされた。
リスク因子:
BZP系薬剤の開始。プロペンシティマット値で、200以上の調整因子を調整した。これは自動のhigh-dimensional propensithy scoreアルゴリズムを用いて、年齢・性別・合併症・生活因子・薬剤使用・ヘルスケア利用などを調整した。
アウトカム:全死亡。Social Security Administration Death Master Fileを用いて6-12-48ヶ月後を調査。
セカンダリアウトカムは、脳卒中や致死的・障害性の脳卒中
患者フォロー率:87%、per protcol解析

結果:
 メインの結果は以下。
 6か月時点では死亡率と関連しなかったが、12/48ヶ月後は有意に死亡率が増加した。
 サブグループ解析では、BZP薬剤使用は、65歳未満では6か月死亡とも関連していた(4.3 vs 4.0死亡/1000人年、HR 1.09:1.02-1.15)。また、BZP系薬剤の種類で言うと、短時間作用型BZP薬剤が有意に死亡と関連していた(11.3 vs 10.8死亡/1000人年、HR 1.06:1.02-1.10)。

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(本文より引用)

結論:
 成人では、6か月時点ではベンゾジアゼピン系薬剤開始と死亡は関連しなかったが、12/48か月では全死亡と関連していた

 高齢者という切り口ではなく、成人全体というのが興味深いです。そしてサブ解析では65歳未満もリスクという・・・今回はz-drugは除外されています。そこは突っ込まれてましたね。z-drugもGABAに作用するからダメよと。
 今回は処方データベースからなので、アドヒアランスも不明で有り、本当にBZP系薬剤を飲むことがリスクなのかを検証するには限界があります。処方も新規開始ですが、直ぐに中止になってしまう人もいるので、コホートでuserを定義するときにリフィル処方を受けた人などにするのも一手では?と提案されていました。
 個人的にはこのPMSのアルゴリズムが凄いなあと思いました。200因子の交絡因子の調整って・・・