栃木県の総合内科医のブログ

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論文:Cross sectional 医師が患者の要求を断ることと患者満足度との関係

Association of Clinician Denial of Patient Requests With Patient Satisfaction
医師が患者の要求を断ることと患者満足度との関係

JAMA Intern Med. 2018;178(1):85-91.

【背景】
 先行研究では、患者の要求を遂行することも断ることも患者満足度に関連することを示唆している。先行研究では特定の要求は検討したが、要求の種類によって患者の期待と医師の要求に対するアクションが与える影響が異なる可能性がある。
【目的】
 医師が特定の患者要求を断ることが患者満足度にどんな影響を与えるかを患者特性を調整し検証する
【デザイン/セッティング/患者】
 北カリフォルニア教育保健センター56人の家庭医外来を受診した1141人、1319回の外来の横断観察研究
【メインアウトカム】
 患者満足度を測定するために6つのCAHPS(Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)を利用して外来受診時の患者満足度を評価した。

CAHPS home page | Agency for Healthcare Research & Quality

 100分率換算されている標準化された項目からなる満足度スコアが形成された。
 7つの別個の線形モデルを作成し、それぞれ紹介、鎮痛薬処方、抗菌薬、その他の新規薬剤、血液検査、画像検査、その他の検査について、その要求が遂行された場合と比較して、断られた時の患者満足度を百分率で調整して平均差を求めた。
 各モデルは、患者の社会疫学的情報、体重、健康状態、正確、健康に対する心配、過去の医療機関受診などを調整した。
【結果】
 1141人の患者の平均年齢は45.6歳、女性が902人(68.4%)だった。1319回の外来受診で、897人(68.0%)が何かしらの要求をしており、1441回(85.2%)が遂行された。
 要求の中身は以下の通りだった。
①紹介 294件(21.1%)
②鎮痛薬処方 271件(20.5%)
③抗菌薬処方 107件(8.1%)
④その他の薬剤処方 271件(20.5%)
⑤血液検査 448件(34.0%)
⑥画像検査 153件(11.6%)
⑦その他の検査 147件(11.1%)

 患者の要求を断ることは、①紹介希望、②鎮痛薬処方、④その他の薬剤処方、⑤血液検査の各項目で患者満足度の低下と関連しており、それぞれ①−19.75 (95% CI:−30.75 to −8.74])、②−10.72 (95% CI:−19.66 to −1.78)、④−20.36 (95% CI:−29.54 to −11.18)、⑤−9.19 (95% CI, −17.50 to −0.87)だった。

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(本文より引用)

【結論】
 医師が患者の要求を断ることは、要求が遂行されることと比較して、要求の種類によっては患者満足度の悪化に関連していた。この結果は、患者満足度に基づいて診療報酬を決定する時代に置いて、臨床医がどのように患者の要求を扱うべきかを考えるべきである。

【批判的吟味】
・数字の意味するところは今ひとつ分かりませんが、断られれば満足度が下がるという当たり前のことが明らかになった形ですね。
・患者満足度に影響を与える交絡因子の調整が十分ではないというのはいつもの常套句ですが、正直しょうが無いかなあという気もします。
・サンプルサイズについては、要求項目によっては十分とは言えなかった。
・要求とそれに対する応答という意味では過小報告も課題報告もあり得る領域ですね。
・診療の継続性も検討する必要があり、過去にあったことがある医師かどうか、という点も患者満足度に大いに関連していた。
【個人的な意見
 個人的にはみんなちゃんと患者の要求に応えているんだなあとしんみりしましたね。まあ、この数字が意味するところはよく分かりませんけどね。
 興味深いこととして、要求がかなえられなかったけれど満足度はそれほど下がらなかった項目として、抗菌薬処方があります。これについては、患者満足度は唯一患者満足度がマイナスになってませんね。「患者が欲しがるから抗菌薬を処方する」というのは、一番ハードルが低い折衝項目なのかもしれません。