栃木県の総合内科医のブログ

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症例:CCJM 35歳女性 舌が赤い

case report。
こんな派手なのは見たことないですね。
そして角化なのかあ・・・

症例:35歳女性 舌が赤い
Cleve Clin J Med. 2016 Aug;83(8):565-566. 

 35歳女性。生来健康だったが、7日前から舌が赤くなし、スパイシーなものを食べるとその部位に痛みがあるとのことだった。病変部位も形状も反復性だった。その他の局所・全身症状は認めなかった。
 舌診察では、白色辺縁に囲まれ、舌の背側および側方に光沢のある紅斑性粘膜が明らかに認められた。咽頭および口腔の診察では異常所見はなく、全身症状も認めなかった。採血では血小板・血糖・生化は正常だった。

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(本文より引用)

質問. 診断は?

 

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回答:地図状舌

経過:
 臨床所見からは典型的な地図状舌と考えられた。地図状舌は基本的に良性で自然軽快する病態であり、今回も改善までスパイシーな食べ物を避ける様に指示され、1ヶ月後のフォロー時には症状は改善していた。
解説:
 地図状舌は良性の移動性舌炎で舌の紅斑性病変として知られており、一般人口2-3%に認められるコモンな病態である。米国では、ヒスパニックよりは白人・黒人で多いが、年齢・性別による偏りはない。地図状に境界明瞭な白色境界があること、典型的には舌の背側・側方に認められることが特徴である。舌粘膜から舌乳頭が喪失して外観が形成されるが、これは数分〜数時間でサイズ・形状・位置が変化し得る。稀に口唇や口蓋粘膜に及ぶことも。

 病理組織学的には乾癬に類似した高角化および色素沈着異常である。なかには、口腔内乾癬の一形態であると主張されている方もいる。アレルギーやストレス、糖尿病、貧血と関連する。増悪因子として、スパイシーや酸性の食品、アルコールがある。過去の知見とは異なり、喫煙は逆相関があることも報告されている。ただ、追加精査が必要になることはほとんどない。
  
 治療は経過観察で安心させること。地図状舌は再発と寛解を繰り返すことがある。鑑別診断として、口腔カンジダ・白斑症・ビタミン欠乏性舌炎・扁平苔癬・全身性エリテマトーデス・薬剤有害事象・再発性アフタ性口内炎がある。症状は口腔カンジダ症とは異なり、健常人に起こること、経時的に変化することで鑑別可能である。また、カンジダの場合は偽膜形成があり、容易に除去できること、疼痛のない赤色局面が残ることが特徴である。貧血・栄養摂取不良・糖尿病を評価するかは、他に疑われる所見がある場合に検討。特異的な治療は不要だが、局所ステロイドや局所麻酔薬は、症状改善に繋がるかもしれない。重症例で、全身性ステロイドやタクロリムス局所使用の報告例はある。 

✓ 地図状舌は基本良性疾患で追加精査・加療は不要