栃木県の総合内科医のブログ

栃木県内の総合病院内科の日々のカンファレンス内容や論文抄読会の内容をお届けします。内容については、できる限り吟味しますが、間違いなどありましたら是非ご指摘ください。また、内容の二次利用については自己責任でお願いします。

論文ななめ読み:BMJ 10月3週目 急性尿閉症と悪性腫瘍の関係:デンマークの人口コホート/在宅高齢者の股関節骨折と転倒予防に対するカルシウムとタンパク質摂取

論文ざっくりななめ読み。今週のBMJです。
BMJ第3週目。今回はざっくり3本。でも粒ぞろいでした!

 

www.bmj.com



急性尿閉症と悪性腫瘍の関係:デンマークの人口コホート

 尿閉患者を診察した後に悪性腫瘍を探すか?と言われるとまあ探して居ないわけですが・・・。とはいえ頻度は多くなりそうという話です。今回対象となる癌は、泌尿生殖器癌、大腸癌、神経腫瘍の3つで、50歳以上という限定はついています。

P:1995-2017年に急性尿閉で入院した50歳以上の7万5983人
E/C:
O:泌尿生殖器癌、大腸癌、神経腫瘍の頻度
T:人口ベースのコホート研究@デンマーク
結果:
 前立腺癌:3か月 5.1%(n=3198),1年 6.7%(n=4233),5年 8.5%(n=5217)
→3か月以内に1000人年辺り218件、12か月を超えると過剰リスクはわずか
 尿路癌:3か月 1.3%,1年 1.8%,5年 2.5%
 大腸癌:3か月 0.4%,1年 0.6%,5年 1.5%
 神経腫瘍:3か月 0.1%,1年 0.1%,5年 0.3%

 兎にも角にも前立腺癌ですね。大腸や神経腫瘍については、それほどのリスクとは言いにくいかもしれませんね〜。とはいえ3か月以内に診断されることが多いです。明らかな原因が無ければ悪性腫瘍を頭の片隅においても良いかもしれません。

頻尿のイラスト

 

在宅高齢者の股関節骨折と転倒予防に対するカルシウムとタンパク質摂取

 このテーマは結構実践的で興味深いなあと思いました。今回は、高齢者施設対象のcluster RCTです。カルシウムやタンパク質不足がありそうな施設に対する栄養介入です。個人的に好きなのは、介入がサプリメントとかではなくて、ミルクやヨーグルト、チーズなどの食品補助で行われているところでしょうか。mad感が少なくてホッとします。

P:ビタミンDは十分だがカルシウム 600mg/日および蛋白 1g/kg/日未満の施設に入所中の高齢者 7195人
 平均 86歳、オーストラリアの60箇所の施設
I:ミルク、ヨーグルト、チーズを追加して合計Ca 1142mg+蛋白 69g/日
C:
通常ケア施設30箇所 合計Ca 700mg+蛋白 58g/日
O:転倒・骨折・死亡率
T:クラスターRCT、2年間介入
結果:
 合計324件の骨折、4302回の転倒、1974件の死亡が発生した
 骨折:HR 0.67[0.48-0.93] 33%減少
 股関節骨折:HR 0.54[0.35-0.83] 46%減少
 転倒:HR 0.89[0.78-0.98] 11%減少
→介入開始して3-5か月で有意になった 
 死亡:HR 1.01[0.43-3.08] 有意差なし

これをRCTでやったのが凄いですよね〜。これ系の研究の多くは観察研究なので。
死亡率は差がなかったので、86歳の方々の運命を変えることはできないけれど、骨折や転倒で痛い思いをしなくて済むと言う感じでしょうか。

なんとなく「約束のネバーランド」を思い出しました。
良い施設に入れるとよいですね〜(違)。